UKジャズの俊英2人が挑む音楽の探求。Vega Trails『Tremors in the Static』

Vega Trails - Tremors in the Static

UKジャズの俊英二人が組んだ新しいプロジェクト、Vega Trails

イギリスの現代ジャズを代表するバンド、Portico Quartetのベース奏者ミロ・フィッツパトリック(Milo Fitzpatrick)と、同じくMammal Handsのサックス奏者ジョーダン・スマート(Jordan Smart)が新しいデュオ・プロジェクト、Vega Trailsを始動!さっそく『Tremors in the Static』という作品となって登場した。レーベルは二人のバンドやGoGo Penguinなどを輩出するGondwana Records。

カール・セーガンのSF小説『コンタクト』に登場する異星“ヴェガ”にインスパイアされ名付けられたユニット名で、サウンドはアルバムタイトル“静的な振動”に象徴されるように肉体よりも精神を強く揺さぶられるような音が連なる。ミロ・フィッツパトリックの探求的なベースは太く力強く足元を支えつつ、アルバム全体に漂う“ここではない何処か”への旅路へと誘う。それに応えるのがジョーダン・スマートで、彼はソプラノサックス、テナーサックス、バスクラリネット、そしてネイ(中東地域の伝統的なフルート)を担当。ミロのベースが推進力=エンジンであるなら、ジョーダンが管楽器で吹くメロディーはその乗組員であるかのように様々な物語を描き出していく。

(2)「Train to Kyoto」。アルバム収録版では冒頭などに日本の鉄道駅で収録したと思われる音声案内が重ねられている。

いずれも革新的なイメージで語られることの多いバンドに所属する二人だが、今作はよりスピリチュアルで知的好奇心を刺激する音楽だ。彼らの未知への挑戦の一部始終を目撃できる、そんな楽しい気分に浸れる傑作。

(8)「Epic Dream」

Milo Fitzpatrick – bass
Jordan Smart – soprano saxophone, tenor saxophone, bass clarinet, ney flute

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