デンマーク発、アフロビートやクンビアを取り入れた奇妙な中東音楽、Ipek Yolu『Tropical Anatolia』

Ipek Yolu - Tropical Anatolia

サズ、ギター + エレクトロニックで尖る、Ipek Yolu というバンド

サズ奏者オルハン・オズグル・トゥラン(Orhan Özgür Turan)を中心としたデンマークの3人組バンド、Ipek Yolu。バンド名はトルコ語でシルクロードのこと。遥か昔ユーラシア大陸を東西に繋いでいた交易の道に喩え、彼らは絹ではなく音楽でユーラシア大陸だけでなく、世界を繋ごうとする。

2021年に発表された1stアルバム『Tropical Anatolia』では、サウンドの中心にアナトリアの伝統音楽を据えつつ、アフロビートや南米のリズム、サイケロック、エレクトロニック・サウンドなどをふんだんに交え国境のない音世界を作り上げる。サズのフレーズはいなたいペンタトニック・スケールの中に微分音を混ぜ込むなど、中東音楽の魅力を息苦しいほどの暑さで放つ。

アルバムにはオリジナル曲と、中東の伝統曲をベースにしユニークなアレンジが施された楽曲が配置されている。エレクトリック・ギターを担当するラッセ・オーゴー(Lasse Aagaard)と、ベーシストでベートメイカーのオラフ・ブリンシ(Olaf Brinch)はコロンビアの伝統音楽クンビアや南アフリカのジャングル・ビートなどを取り入れたデジタルサウンドで人気のバンドJunglelydのメンバーで、今作のサウンド面はこの二人が持ち込んだものが大きい。

アフロビートにアレンジされたアナトリアの伝統曲(7)「Ayvaz」

(2)「Afro Turko」

Ipek Yoluは2018年にデンマークで行われたAarhus Roots & Hybrid Festivalでの即興的なセッションをきっかけに生まれたという。オルハン・オズグル・トゥランのバンドHudnaと、ラッセ・オーゴーとオラフ・ブリンシが所属するバンドJunglelydが融合した一夜限りのショーは3時間続き、彼らにとってその感覚が何か普通ではないことに気づくことにそう時間は掛からなかった。
それから彼らは2020年に多数のゲストを迎え録音を完了させ、世界を横断する音楽の旅路に誘う傑作『Tropical Anatolia』を世に放った。

クンビアのリズムに乗った奇妙な中東音楽(5)「Mustang」

Ipek Yolu :
Orhan Özgür Turan – baglama, saz, vocal
Lasse Aagaard – electric guitar
Olaf Johannes Brinch – beats, bass, keyboards

Ipek Yolu - Tropical Anatolia
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