グラミー賞5回、文学や経済界でも活躍する天才カビール・セガール、洋の東西をつなぐ新作

Kabir Sehgal - Sand and Foam

カビール・セガール、『預言者』ジブラーンにインスパイアされた新作

『貨幣の「新」世界史』など10冊を超える著書を持つ作家であり、投資銀行の重役も務め、大統領選挙戦のスピーチライター、海軍士官などの肩書きを持ち、音楽家としてはベーシスト/プロデューサーとしてグラミー賞5回、ラテングラミー賞3回の受賞歴を持つインド系アメリカ人カビール・セガール(Kabir Sehgal)が、北インドの楽器サロードの巨匠アムジャド・アリ・カーン(Amjad Ali Khan)の息子であり同じくサロード奏者のアマーン・アリ・バンガシュ(Amaan Ali Bangash)アヤーン・アリ・バンガシュ(Ayaan Ali Bangash)の兄弟とともに制作した2022年新譜『Sand and Foam』は、ジャズ、トラップ、エレクトロ、ラップといった西洋の音楽と、伝統的なインドの楽器、ハーモニー、メロディーを融合した興味深い作品だ。

(1)「The Wanderer」

本作はレバノンに生まれ、少年時代にアメリカ合衆国にわたり作家/詩人/画家として活躍したハリール・ジブラーン(Kahlil Gibran, 1883 – 1931)にインスパイアされたもの。彼の代表作である散文詩的小説『預言者』は15歳の頃に草稿を書き上げ、その後何度も推敲を重ね1923年に英語で発表されるとアメリカを中心に広く読まれ、深い洞察と示唆に満ちた普遍的な内容から“ヒッピーのバイブル”とまで呼ばれた。日本でも当時皇太子妃だった上皇后美智子がレバノン大統領から贈呈され愛読していたことでも知られており、まさに洋の東西をつなぎ人々に大きな影響を与えた。

アトランタに住むインドからの移民の家庭に生まれ、音楽や経済、そして軍事に外交にとあらゆる分野で活躍するカビール・セガールは本作でハリール・ジブラーンのように地理的・文化的に異なる音楽を深いレベルで結びつける。ゲストにはサックス奏者ティヴォン・ペニコット(Tivon Pennicott)、チリ出身ヴォーカリストのクラウディア・アクーニャ(Claudia Acuña)、クラリネット奏者オラン・エトキン(Oran Etkin)ら多彩な面々が名を連ねる。

(5)「Prophets of Prose」
Kabir Sehgal - Sand and Foam
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