リンダ・シカカネ、スピリチュアルな南アフリカ・ジャズ新譜
ズールー族にルーツを持つ南アフリカのサックス奏者、リンダ・シカカネ(Linda Sikhakhane)の新作『Isambulo』は、独自の進化と発展を遂げる南アフリカの最新のジャズの象徴するような傑作だ。アルバムタイトルの意味は「啓示」、プロデューサーはブルーノート・レコードで活躍するンドゥドゥーゾ・マカティニ(Nduduzo Makhathini)が務めている。
まさにアフリカの伝統的なリズムと、その文化からくるスピリチュアルな音符の捉え方を、現代の洗練されたジャズのフォーマットに持ち込んだ南アフリカの最先端のローカル・ジャズ・ミュージックだ。本作の主人公、リンダ・シカカネは幼少期より伝説的なトランペッター、故ブライアン・スーシ(Brian Thusi)の指導のもと、サックスを手に取った。その後はンドゥドゥーゾ・マカティニの『Mother Tongue』(2014年)に参加したり、海外奨学金コンペティションで勝利を収めニューヨークのニュースクールに留学するなど期待の新星として名を馳せていった。
(1)「Inner Freedom」は2017年の彼のデビュー作『Two Sides,One Mirror』からの再録だが、フリージャズ的だった前回の録音から一転、ここではパーカッションが鳴り響き、ピアノが繰り返す2小節の音型の上でゆったりと祈りを捧げるようなサックスが印象的なアレンジとなっている。
スイス出身のトランペッター、マティアス・スピルマン(Matthias Spillmann)が(3)「Isambulo」に参加。(4)「uNongoma」ではParasが驚異的な表現力のヴォーカルを聴かせる。
Linda Sikhakhane – soprano saxophone, tenor saxophone, voiceover
Lucca Fries – piano
Fabien Iannone – bass
Jonas Ruther – drums
El Hadji Ngari Ndong – percussion
Matthias Spillmann – trumpet (3)
Paras – vocals (4)
Anna Widauer – vocals (6)