極上の室内楽ブラジリアン。ジャズ・クラリネット名手アナット・コーエンの新作『Quartetinho』

Anat Cohen - Quartetinho

ジャズ・クラリネット奏者Anat Cohen 新作『Quartetinho』

イスラエル出身のジャズ・クラリネット奏者アナット・コーエン(Anat Cohen)が新作『Quartetinho』をリリースした。アルバムタイトルは4人組を意味するカルテット(Quartet)に、ブラジル・ポルトガル語で“可愛いもの”“小さいもの”といったニュアンスをもつ“-inho”をくっつけた、ブラジル音楽に傾倒するアナット・コーエンらしい言葉選びも秀逸な作品だ。

メンバーにはアナットの他、同じくイスラエル出身のギタリスト/ベーシストのタル・マシアフ(Tal Mashiach)、ブラジルのピアニストのヴィトール・ゴンサウヴェス(Vitor Gonçalves)、そしてNYを拠点とするヴィブラフォン/パーカッション奏者ジェイムズ・シップ(James Shipp)が名を連ねる。

収録曲も多彩だ。定番のエグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)作曲の(2)「Palhaço」、(8)「Frevo」、A.C.ジョビンによる佳曲(6)「O Boto」、メンバーのオリジナルなど丁寧にアレンジされた全11曲。ドラムレスの編成だが、即興を軸にしたアンサンブルの妙技が楽しめる、まさにタイトル通りの“Quartetinho”な作品に仕上がっている。

アナット・コーエン作曲の(9)「Louisiana」。カルテットの創造力が爆発する

アナット・コーエン(Anat Cohen)は1975年テルアビブ生まれのクラリネット/サックス奏者。
同じくジャズミュージシャンとして世界的に著名な実兄のアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen, tr)、ユヴァル・コーエン(Yuval Cohen, sax)とのバンド活動「3 Cohens」でもよく知られている。

2008年から2018年まで毎年のクラリネティスト・オブ・ザ・イヤーに選出されるほどの名手で、現在はニューヨークを中心に活動し、近年はブラジルの伝統的な音楽であるショーロといったジャンルでも話題を振りまく才能豊かな音楽家である。

Anat Cohen – clarinet, bass clarinet
Vitor Gonçalves – piano, accordion, Fender Rhodes
Tal Mashiach – bass, guitar
James Shipp – vibraphone, percussion, glockenspiel, analog synthesizer

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