唯一無二の個性を持つトリオ、Reverso の新作
ドイツのピアノ奏者フランク・ヴェステ(Frank Woeste)、アメリカ合衆国のトロンボーン奏者ライアン・ケバリー(Ryan Keberle)、そしてフランスのチェロ奏者ヴァンサン・クルトワ(Vincent Courtois)によるトリオ、レヴェルソ(Reverso)による『Reverso – Harmonic Alchemy』。
心が、精神が浄化されるような一枚だ。
静かに丁寧に紡がれる即興音楽である。ベース、ハーモニー、メロディを同時に奏で場を作るピアノ、人間的で温かなトロンボーン、低音から高音まで弦の豊かな響きで魅了するチェロ。三者が一体となって描き出す音空間はどこまでも穏やかで、信頼して身を預けられる感覚がする。
2020年の前作『Reverso – The Melodic Line』につづき、今作でもクラシック音楽からインスパイアされた3人のオリジナル曲を収録。クラシックの室内楽とジャズの共通の魅力である少人数の音楽家による濃密なコミュニケーションに立ち返り、音楽的な会話をしながらそれぞれの感性と技術に委ねられた即興を交えた演奏が糸を紡ぐように展開される。
アルバム・タイトルも絶妙で、Harmonic Alchemy = 調和の秘術、とは無から信じられないほどの美しさを持った音響の波形を生み出す彼らの才能を端的に示している。
Frank Woeste – piano
Ryan Keberle – trombone, voice
Vincent Courtois – cello