アフロ・ブラジル音楽の歴史を体現する男女デュオÀVUÀ、最高のデビュー作『Percorrer Em Nós』

ÀVUÀ - Percorrer Em Nós

男女デュオ、ÀVUÀ 驚くべきデビュー・アルバム

アコースティック・ギターとアフロ・ブラジルのパーカッション、そして適度なエレクトロニック・サウンドに溶け込む極上のハーモニー。女性シンガー/作曲家ブルーナ・ブラッキ(Bruna Black)と、男性ギタリスト/シンガー/作曲家のジョタ・ペー(Jota.pê)によって結成されたデュオ、ÀVUÀのデビュー作 『Percorrer Em Nós』は、今もっともモダンで素晴らしいブラジル音楽のひとつだと断言できる。

彼らのインスピレーションの源は、アフロ・ブラジルの文化が生み出してきたあまりに豊かな音楽の遺産たちだ。

「私たちの音楽は過去と現在の結果でしかありません」と彼らは語る。
「ジャヴァン(Djavan)やエルザ・ソアレス(Elza Soares)のような古いアーティストから、ルエジ・ルナ(Luedji Luna)やリニケル(Liniker)といった最新のアーティストまで、私たちが愛するすべての音楽を自分たちのサウンドに取り入れようとしているのです」

世界中のユニークで才能ある音楽家を紹介する人気YouTubeチャンネル『Colors』で発表された(6)「Comum」は、他者と関わることへの恐れと同時に、美しい感情に身を委ね、完全に相手に身を委ねたいという想いが込められた曲。作詞作曲はブルーナ・ブラッキで、このプロジェクトをきっかけに二人はデュオとして活動を本格化。全8曲のとろけるような至福のサウンドを完成させた。

(6)「Comum」

二人のオクターヴ・ユニゾンのアカペラで始まる(1)「Bentivi」は象徴的な楽曲だ。
愛、恐れ、男女の駆け引き、安心感と嫉妬。そうした複雑な感情を詩的に表現する内容で、アフロ・ブラジルらしいリズムの抑揚が印象的。

アフロ・ブラジル音楽のリズムも魅力的な(1)「Bentivi」

今作では二人のオリジナルのほか、ブラジルの若い才能にフォーカスした楽曲も。
(7)「Não Pare de Dançar」はSSWテオドロ・ナゴー(Theodoro Nagô)による楽曲のカヴァーで、ブラジル北東部の伝統的なショッチのリズムをベースに洗練されたサウンドに仕上がっている。

(2)「Te Encontrar」にはジョタ・ペーとともに女性SSWニーナ・オリヴェイラ(Nina Oliveira)が作曲者としてクレジットされている。この曲はパンデミック中に書かれたもので、愛する人と一緒に通りを自由に歩く懐かしさについて歌っている。

ラストの(8)「Teu Lar」は、ブルーナ・ブラッキが最初の子どもを出産したときの感情を表現したもの。

二人の類稀なアーティストが、個々の経験から創造してきた表現が奇跡的に出会い、予想もしなかった化学反応を起こした。このアルバムに収められた音楽は、抽象的で言語化が難しいが、おそらくは全人類が本能的に覚えている生物的に機微な感覚をそっと刺激するものだろう。

(4)「Dois Sóis」のMV。ただひたすらに愛の欲求を重ねる映像は衝撃的だ。
(5)「Abrigo」のアコースティック・ヴァージョン。
ÀVUÀ - Percorrer Em Nós
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