カイピ・バンドで活躍したフレデリコ・エリオドロ、7年ぶり新譜
これは、カート・ローゼンウィンケルのカイピ・バンド(Caipi Band)の正統な後継作のようなアルバムだ。
そのCaipi Bandのメンバーであり、2022年の巨匠ミルトン・ナシメントのラスト・コンサートのベーシストにも抜擢されるなど現在のブラジルの音楽シーンを代表するベース奏者フレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)の7年ぶりとなるリーダー作『The Weight of the News』は、カイピ・バンドが魅せたジャズとブラジル音楽の融合の最新形をアップデートしつつ、彼のシンガーソングライターとしての才能にもフォーカスした作品となっている。
参加ミュージシャンはカート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)、アントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)、ペドロ・マルチンス(Pedro Martins)、オリヴィア・トルンマー(Olivia Trummer)といったカイピ・バンドの“同僚”に、チアゴ・ハベーロ(Thiago Rabello)やフェリピ・コンチネンチーノ(Felipe Continentino)ら同郷ミナス勢、さらにはルイス・コール(Louis Cole)、アーロン・パークス(Aaron Parks)、デヴィッド・ビニー(David Binney)、シーマス・ブレイク(Seamus Blake)ら米国の現行ジャズシーンを支える豪華な面子が集結。それぞれの豊かな個性と技術、創造性が複雑にもつれあい、新しい音楽体験を約束してくれる。
フレデリコ・エリオドロの作風は父親であるアフォンシーニョの影響も感じられるが、サウンドは現行のミナス音楽(特にアントニオ・ロウレイロ界隈)とルイス・コール率いるデュオ、Knowerの世界観とリンクしており、ジャズ周辺で発展するひとつの潮流の最先端といった様相。フレでリコはエレクトリック・ベースを中心にシンセベースも効果的に用い、決して楽器のプレイで目立つことはなく音楽としての総合的なクオリティを目指す。自然体のヴォーカルもとても良い。
Frederico Heliodoro 略歴
フレデリコ・エリオドロは1987年ブラジル・ミナスジェライス州生まれのベーシスト/作曲家/シンガー。父親は人気グループ、ハノイ・ハノイ(Hanoi-Hanoi)創立者のひとりとして知られるミナス屈指のSSW/ギタリストのアフォンシーニョ(Affonsinho, 本名:Affonso Heliodoro, 1960 – )。
ブラジルらしさをジャズや現代音楽と融合する表現を追求する“ミナス新世代”の中心的な存在として知られ、アントニオ・ロウレイロやダニ・グルジェルといったミナスやサンパウロの最前線のミュージシャンらと一大音楽シーンを形成してきた。
様々なアーティストのスタジオ録音やライヴにベーシストとして参加する一方で、自身のリーダー作である『Dois Mundos』(2012年)や『Acordar』(2015年)などではベースだけでなく作詞作曲、ヴォーカルやキーボードなど音楽家として多彩な才能を披露。
2017年には米国出身の世界的ギタリスト、カート・ローゼンウィンケルの呼びかけに応じバンドに参加、アルバム『Caipi』によって活動の幅を拡張した。
Frederico Heliodoro – bass, keyboards, vocals, synth bass, lead bass
Antonio Loureiro – percussion, drums, piano
Chris Fishman – piano, synth
Thiago Rabello – drums
Seamus Blake – saxophone
Olivia Trummer – piano
Felipe Continentino – drums
Louis Cole – drums
Pedro Martins – guitars
Kurt Rosenwinkel – guitars
Aaron Parks – piano
David Binney – saxophone
Marcus Abjaud – keyboards