レイヴェイ新作は“古巣”アイスランド交響楽団との共演ライヴ盤
アイスランドの新星シンガーソングライター/ギタリスト/チェリストのレイヴェイ(Laufey)が、アイスランド交響楽団(Iceland Symphony Orchestra)を迎えて演奏したライヴ音源『A Night At The Symphony』がリリースされた。
これは2022年10月に彼女の故郷レイキャビクのコンサートホールで行われた、かつて彼女がチェロのソリストとして演奏していたアイスランド交響楽団と再共演したコンサートの模様を収めたもの。
デビューアルバム『Everything I Know About Love』の楽曲を中心にスタンダード曲なども交えパフォーマンスを披露しており、オーケストラの絢爛なアレンジをバックにした彼女の圧倒的なレベルの表現力をあらためて見せてくれる作品となっている。
本当に、タレンテッドとは彼女のような人のためにある言葉なのだと感じる。
シンプルかつ美しい曲を書き、ギターやチェロを弾きながら成熟した声で歌うレイヴェイはしばしば“ジャズとベッドルーム・ポップの融合”と例えられるが、まさしく的確な表現だと思う。
紛い物ではない本物がSNSを味方につけたときの推進力の凄まじさを、今私たちは目撃している。そうして、かつてない勢いで世界中で増え続けるファンの声を新たな創作のエネルギーとして好循環を生んでいるのが現在のレイヴェイなのだ。
彼女の代表曲といえる(1)「Fragile」に始まり、これも名曲(2)「Valentine」、(3)「Dear Soulmate」といった楽曲群のオーケストラアレンジは素晴らしい。(4)「I Wish You Love」、(10)「The Nearness of You」、(14)「Every Time We Say Goodbye」といった古いスタンダードもレイヴェイが歌うことでどこか新鮮な感動を覚える。唯一アイスランド語で歌われる(6)「Ég Veit Þú Kemur」のカヴァーも良いアクセントになっている。
Laufey プロフィール
レイヴェイ(Laufey, 本名:Laufey Lín Jónsdóttir)は1999年アイスランド生まれ。母方の祖父リン・ヤオジ(Lin Yao Ji, 林耀基, 1937 – 2009)はクラシックの著名なヴァイオリン奏者で、北京に本部を置く中国随一の音楽学校である中央音楽学院の教授を務めていた。母親もヴァイオリン奏者で、レイヴェイ自身も幼少期からクラシックの音楽教育を受けている。
アイスランド人の父親はジャズの愛好家で、彼が好んでいたエラ・フィッツジェラルドやビリー・ホリデイといった女性ジャズ・ヴォーカリストのレコードもレイヴェイの音楽性に大きな影響を与えた。
15歳でソリストとしてアイスランド交響楽団で演奏。
2014シーズンのÍsland Got Talent(America’s Got Talent のアイスランド版)に参加し、ファイナリストとして終了。翌年、彼女はThe Voice Icelandにも出場し、準決勝まで進んでいる。
2020年にデビューシングル『Street by Street』をリリースし、 Icelandic Radioでチャート1位を獲得。2021年4月には最初のEP『Typical of Me』を、そして2022年にフルレンス・デビューアルバム『Everything I Know About Love』リリースした。
彼女のTikTokアカウントには、2023年3月時点で約90万人のフォロワーがついている。
双子の妹ジュニア・リン(Junia Lín)もヴァイオリン奏者で、姉レイヴェイとは度々ライヴなどで共演している。
Laufey – vocal, guitar, cello
Iceland Symphony Orchestra
Hugh Brunt – conductor
Iain Farrington – orchestral arrangement: