国籍も世代も超えた欧州〜中東ジャズの名盤。Stephane Galland『Lobi』

Stephane Galland - Lobi

ベルギーのドラマー、ステファン・ギャランドの傑作『Lobi』

ベルギーのドラマー、ステファン・ギャランド(Stephane Galland)が2012年にリリースした初リーダー作『Lobi』は、国籍も世代も超えた最高のミュージシャンたちが集い、最高に面白いジャズを奏でた名盤だ。

参加メンバーは“フルートの曲芸師”ことフランスのマジック・マリク(Magic Malik)、伝統音楽やプログレ、メタル、ジャズを巧みに融合させるアルメニアの天才ピアニストのティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)、ブルガリアを代表するアコーディオン奏者ペーター・ラルシェフ(Peter Ralchev)、パコ・デ・ルシアやチック・コリアと共演してきたスペインのベーシストのカルレス・ベナベント(Carles Benavent)、そしてトルコ出身で“スプリットフィンガー”と呼ばれる奏法を編み出したダラブッカの巨匠ムスルル・アフメット(Misirli Ahmet)という布陣。それぞれ異なる文化的背景を持つ彼らがジャズという共通言語のもとに集ったアンサンブルは、リンガラ語(アフリカ・コンゴを中心に話される言語)で“昨日”と“明日”の両方を意味するというアルバムタイトル「Lobi」の名のとおり、音楽における伝統と未来を繋ぐ象徴のようだ。

これだけのメンバーが揃っているのだから、聴きどころは随所にある。ステファン・ギャランドのドラムスとムスルル・アフメットのダラブッカによる嵐のようなリズム、(4)「Ioio」などでみられる特殊奏法などマジック・マリクの驚異的なフルート(とヴォイス)、ソロになると彼らしい魅力的なフレーズが飛び出すティグラン・ハマシアンのピアノなどなど。終始口が開いたまま塞がらない、驚くべき音の洪水だ。

レコーディング・セッションの様子

Stephane Galland プロフィール

ステファン・ギャランドは1969年生まれ。3歳で初めてドラムセットを叩き、9歳から地元の音楽院でクラシック・パーカッションのレッスンを受け、その2年後にはのちにベルギーを代表するピアニストとなるエリック・レニーニ(Eric Legnini)とジャズを演奏し始めた。

1992年にはベルギーのジャズシーンに一石を投じたアヴァン・ジャズバンド、Aka Moonを結成しドラマーとして活動し、世界中で演奏を行った。

2011年に始動したプロジェクト、Lobiではアルメニアの天才ピアニスト、ティグラン・ハマシアンらと共演。2014年からはフランスのトランペット奏者イブラヒム・マーロフのバンドのレギュラーメンバーとなるなど常に新しく刺激的な音楽を追求している。

Stephane Galland – drums
Magic Malik – flute, voice
Tigran Hamasyan – piano
Peter Ralchev – accordion
Carles Benavent – bass
Misirli Ahmet – percussion

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