カイハン・カルホールとトゥマニ・ジャバテのデュオ作品
イラン出身のケマンチェ奏者カイハン・カルホール(Kayhan Kalhor)と、マリのコラ奏者トゥマニ・ジャバテ(Toumani Diabaté)がデュオを組み、事前の取り決めをほとんど何も行わずに即興で演奏したアルバム『The Sky Is the Same Colour Everywhere』。
時に語らいあうように交互にそれぞれの楽器を演奏したり、時に一方がリズミックな伴奏をつけながらもう一方が自由にメロディーを奏でたりと、国や言葉、文化の壁に阻まれないデュオはどこまでも幽玄で美しい。ペルシャと西アフリカ、ふたつの伝統的な楽器の音色に深く耳を澄ませば、騒がしい日常から解放され、心も身体までもが癒されるようだ。
このデュオのアイディアは、ケイハンが他のいくつかのコラボレーションで何度か演奏していたドイツ・オスナブリュックでのモルゲンランド・フェスティバルのディレクターであるミハエル・ドライアー(Michael Dreyer)の提案で生まれた。二人による最初のパフォーマンスは2016年9月に行われた。その後いくつかの会場でのヨーロッパツアーが行われ、ブリュッセルでの最後のコンサートの後、パリで今作を録音した。
ケマンチェ奏者 Kayhan Kalhor 略歴
カイハン・カルホール(ペルシア語: کیھان کلگ、クルド語: کەیھان کەڵھوڕ)は1964年イラン出身のクルド人ケマンチェ奏者/作曲家。世界的チェリスト、ヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)のプロジェクト「シルクロード・アンサンブル」に参加したことで知られている。
彼が演奏するケマンチェはペルシャの伝統的な擦弦楽器で、ヴァイオリンやフィドルの元になったと言われている。
7歳から音楽を始め、13歳の頃に彼はイラン国立ラジオ・テレビ管弦楽団で演奏。イラン各地で伝統音楽を学びながら育ち、17歳でイタリアに移住しローマで音楽を学んだ。その後はカナダに移り、オタワのカールトン大学を卒業、さらに米国ニューヨーク市のブルックリンに移住し商業的な成功を収めたが、2002年の同時多発テロ以降、米国内で反イスラム感情が高まり、数年間イランに帰国せざるを得なくなった。
コラ奏者 Toumani Diabaté 略歴
トゥマニ・ジャバテは1965年西アフリカのマリ生まれ。代々のグリオの家系で、1970年に史上初のコラのアルバムを録音したシディキ・ジャバテ(Sidiki Diabaté)は父親、そして女性初のコラ奏者であるソナ・ジョバルテ(Sona Jobarteh)は従姉妹にあたる。
1988年に最初のソロ・アルバム『Ba Togoma』をリリースして以降、マリの伝統音楽だけでなくヌエボ・フラメンコのグループ、ケタマ(Ketama)との共演作『Songhai』(1988年)など異文化音楽との交流も非常に多く、コラという伝統楽器をワールドワイドなものとしてきた最大の貢献者の一人といえる。
Kayhan Kalhor – kemanche
Toumani Diabaté – kora