躍動するグルーヴ、レユニオン音楽を現代にアップデートする女性SSWオリアーヌ・ラカイユ『iViV』

Oriane Lacaille - iViV

SSW/ウクレレ/打楽器奏者オリアーヌ・ラカイユのデビュー作

フランスのゾレオール(フランス人とクレオール人)のシンガーソングライター/打楽器/ウクレレ奏者、オリアーヌ・ラカイユ(Oriane Lacaille)の初のフルレンス・アルバム『iViV』がリリースされた。レユニオンのマロヤやセガといった伝統音楽をベースに、洗練された独自の創作性で築く音楽と言葉の冒険の世界が広がる。

アルバムは「私は決して育つことのない花です」と歌う(1)「Je Suis La Fleur Qui Ne Poussera Jamais」で幕を開ける。グナワのグルーヴをもつ(3)「Li Bat」や、(6)「Aouicha Dancefloor」などの有機的で複雑なリズムも面白い。
オリアーヌのパーカッションと、ドラムス奏者エロイーズ・ディヴィリー(Heloïse Divilly)という女性奏者二人、そしてベースラインを支える男性ダブルベース奏者ヤン=ルー・ベルトラン(Yann-Lou Bertrand)から成るコアトリオは強靭だ。それぞれの楽器の複雑な絡み合いと、全員がコーラスでも参加するためその表現力は圧巻。

(1)「Je Suis La Fleur Qui Ne Poussera Jamais」

ゲストとしてハイチにルーツを持つ米国のSSW/マルチ弦楽器奏者のレイラ・マッカラ(Leyla McCalla)が(5)「Iviv」に、イタリア系イギリス人SSWピアース・ファッチーニ(Piers Faccini)が(3)「Li Bat」に、フランスの若手SSWローラ・カエン(Laura Cahen)が(7)「Flèr」に参加。
さらに(8)「Lam La Mer」には父親ルネ・ラカイユ(René Lacaille)がアコーディオンを、そしてロイ・エールリッヒ(Loy Ehrlich)がゲンブリで参加している。

フランス語とレユニオンのクレオール語が混ざり合う歌詞は常に彼女の感情に寄り添い、愛、女性らしさ、母性、移民、奴隷制度、家庭内暴力などについて語り、そして彼女の人生の重要な部分である彼女の夢についても語る。

(9)「Rid」のライヴ演奏動画

Oriane Lacaille 略歴

オリアーヌ・ラカイユは1986年生まれ。父はレユニオンのアコーディオン奏者/シンガーソングライターのルネ・ラカイユ(Rene Lacaille)、母は作家で教師のオディール・ラカイユ(Odile Lacaille)という文化的な家庭で育ち、しばしば父親のツアーに同行しジャズ、カリブ海の音楽、アフリカ音楽、その他の伝統的な舞踏音楽を混ぜ合わせたレユニオン音楽の中で音楽的な感性を養っていった。13歳の頃に初めてステージに立ち、彼女にとってステージは家のようなものだという。

長らくグループの中で活動しており、ソロ活動を始めたのは近年から。2022年にピアース・ファッチーニの全面協力を得てデビューEP『Hear My Voice』をリリース。フルレンスのアルバムは今作『iViV』が初めてとなる。

Oriane Lacaille – vocal, ukulele, takamba, percussions
Heloïse Divilly – drums, percussions, chorus
Yann-Lou Bertrand – contrabass, trumpet, chorus
Freddy Boisliveau – guitar

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