新世代SSW、Jota.pê 新譜『Se o Meu Peito Fosse o Mundo』
2023年に先行してA面5曲がリリースされ、アルバム完成を待ち望まれていたブラジルの新世代SSW、ジョタ・ペー(Jota.pê)がついにフルレンス・アルバムとして『Se o Meu Peito Fosse o Mundo』(もし私の胸が世界だったら)を完成させた。2022年に女性SSWブルーナ・ブラッキ(Bruna Black)とのデュオ「ÀVUÀ」名義でリリースした 『Percorrer Em Nós』で並外れたセンスを見せた彼は、今作でも自作曲・共作曲を中心に様々な文化が混在する新しいブラジルの音楽を聴かせてくれる。
(1) 「Tá Aê」はジョタ・ペーとテオドロ・ナゴー(Theodoro Nagô)の共作。カーボベルデの歌手マイラ・アンドラーデ(Mayra Andrade)に強く影響を受けたというこの曲は歌詞でもカーボベルデやキューバといった彼らがまだ見ぬ、しかし文化的なつながりを感じているという土地へも言及されている。
(2)「Um, Dois, Três」はジョタ・ペーの作詞作曲で、2015年頃に作られ、現在の形に落ち着いた曲。サウンドはUKの同世代トム・ミッシュ(Tom Misch)を参考にしており、サンバ、ロック、ブルースなどの要素が驚くほど洗練された曲の中に内在する。
(3)「Naíse」はニーナ・オリヴェイラ(Nina Oliveira)の曲のカヴァー。ゲストで日本でも広く知られつつある女性歌手シェニア・フランサ(Xenia França)が参加し、ブラジル北東部音楽の気怠く垢抜けない絶妙なフィーリングが最高の心地よさを生んでいる。
(4)「A Ordem Natural Das Coisas」はブラジルで最も人気のあるMC/ラッパー、エミシーダ(Emicida)の曲のカヴァー。ブラジルらしい、さりげなく豊かで洗練されたサウンドがかっこいい。
(7)「Feito A Maré」はジルソンズ(Gilsons, ブラジルを代表する音楽家ジルベルト・ジルの息子や孫たちで構成されたグループ)との共演。アコースティック主体の上質なMPBを聴かせてくれる。
現代ブラジルの“最高の声”、Jota.pê
ジョアン・パウロ・ゴメス・ダ・シウヴァ(João Paulo Gomes da Silva)、通称ジョタ・ペーは1993年サンパウロ州オザスコ生まれ。2015年に最初のアルバム『Crônicas de um Sonhador』をリリース。
TVグローボのオーディション番組「ザ・ヴォイス・ブラジル(The Voice Brasil)」で大成功を収め、ルル・サントスによって番組の全シーズンで最高の声の一人と評された。2022年にはブラジルで数回の公演を行った後、初のヨーロッパツアーを行い、全公演が完売となっている。
個人の活動と並行して女性SSWブルーナ・ブラッキ(Bruna Black)とのデュオ「ÀVUÀ」を結成。 アルバム『Percorrer Em Nós』を発表し、2人でツアーも行っている。