ウクライナ出身の奇才ギタリスト、イーゴリ・オシポフが描き出すスタイリッシュな最先端JAZZ

Igor Osypov - Motherland?2k14

複雑な感情が入り混じるイーゴリ・オシポフ新譜『Motherland?2k14』

ウクライナ出身のギタリスト/作曲家、イーゴリ・オシポフ(Igor Osypov)の2024年新譜『Motherland?2k14』が凄い。現在はドイツ・ベルリンに滞在し、母国に帰ることができない状況となっている彼の個性的な音楽には、従来のジャンルの枠に留まらない洗練されたサウンドの中に曖昧だが示唆的な主張が垣間見える。

分かりやすく言うならば、ジャズとサイケロックの融合。いくつかの言語(日本語も!)によるスポークン・ワードのサンプリングも取り入れ、否応なしに世界平和や文化的な相互理解への期待を背負わされる彼の立場を過激な音に乗せ表現した作品という印象だ。

複雑な変拍子とスケールのシンセサイザーで始まる(1)「Vango」から、いきなり度肝を抜く演奏が繰り広げられる。ベルリン出身のテナーサックス奏者ウリ・ケンペンドルフ(Uli Kempendorff)の躍動感溢れるソロのあと、韓国語のスポークン・ワードが現れる。続いてカンザスシティ出身のアルトサックス奏者ローガン・リチャードソン(Logan Richardson)のソロを迎える。

(1)「Vango」

(3)「Crypto」では思索的な語り口の日本語を聴くことができる。声の主は日本人のシンガーソングライター、Yuri Tanaka。イーゴリ・オシポフのファジーなギターソロも印象的だ。

イーゴリ・オシポフと同様にウクライナ生まれ・ドイツ在住のトランペット奏者ディマ・ボンダレフ(Dima Bondarev)も全編で鋭い音色を奏でている。アルバムには他にスウェーデン出身のベース奏者ペッター・エルド(Petter Eldh)やドイツのドラマーファビアン・ロッシュ(Fabian Rosch)、ポーランド出身のパーカッション奏者ボデク・ヤンケ(Bodek Janke)らが参加している。

(2)「Raspberry Beat」

Igor Osypov – guitar, electric bass, keyboards
Dima Bondarev – trumpet
Uli Kempendorff – tenor sax
Povel Widestrand – keys, Wurlitzer
Fabian Rösch – drums
Logan Richardson – alto saxophone (1, 3, 8, 9)
Petter Eldh – upright bass (1)
Bodek Janke – tabla, percussion (5, 7), drums (10)
Ludwig Wandinger – beat, e-drums (2)
Kim Jong-Ha – speech (1)
Baron Arnold – speech (2)
Yuri Tanaka – speech (3)
Cansu Tanrikulu – Speech (4)
Anna Osypova – speech (5)
Mia Knop Jacobsen – speech (6)
Wassim Mukdad – speech (7)
GANNA – speech (8)
Alina Sokulska – speech (9)
Dima Bondarev – speech (10)

Igor Osypov - Motherland?2k14
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