ルイーザ・ブリーナ新作『Prece』
ブラジル・ミナスジェライス州の鬼才SSW、ルイーザ・ブリーナ(Luiza Brina)は、10年以上の歳月にわたり「Oração」(祈り)と呼ぶ一連の譚詩曲を創作してきた。その一部は彼女の過去作『Tão Tá』や『Tenho Saudade Mas Já Passou』にも収録されてきたが、2024年リリースの今作『Prece』はついに全編が「Oração」となり、ルイーザ・ブリーナの全てを曝け出すようなアーティスティックの極致のような作品となった。
アルバムはルイーザ・ブリーナと鍵盤奏者/プロデューサーのシャルル・ティシエ(Charles Tixier)の総指揮のもと制作され、演奏にはミナスジェライス交響楽団やオウロ・プレート管弦楽団などで活躍する女性器楽奏者たちによって構成された室内楽団が参加。丁寧なアレンジのもと、ルイーザ・ブリーナが弾くヴィオラォン(ナイロン弦ギター)やシャルル・ティシエによるエレクトロニックも効果的に絡んだ美しいサウンドが“祈り”の背景にある物語を音で表現している。
ルイーザ・ブリーナの育った家庭は無宗教で、ルイーザ自身も特定の信仰を持っていなかった。
パニック障害を発症した2010年、「何かを信じなければならない」と感じた彼女は、一種の神聖な場所との出会いを求め一連の「祈り」と題された楽曲の制作を開始。そして時間が経つにつれ、その創作こそが彼女自身の言語であり、自分の宗教は”音楽”であるということを理解し始めたのだという。
最初に作曲された“祈り”である(1)「Oração 1」はパニック障害に直接関係していたが、時間経過とともに他のテーマがルイーザの心を占めるようになっていった。彼女は意図や美学を”祈り”と結びつけ、それら全ては祈りという願いに通じるものとして受け止め、詩作を進めていった。
”祈り”を一枚のアルバムにまとめようと2020年頃から構想を練り始め、そこから室内楽オーケストラの編曲などを進め今作の録音に至るまでに4年の歳月を要した。
ラテングラミー賞の受賞などで注目されるシルバナ・エストラーダ(Silvana Estrada)が(2)「Oração 2」」に、ブラジルの土着宗教カンドンブレの音楽を表現する現代随一のSSWイアラ・ヘンノ(Iara Renno)が(7)「Oração 19」に参加するなど、さりげなく素晴らしいコラボレーションも。
Luiza Brina – guitar, vocal
Karina Neves – piccolo, flute, bass flute
Aline Gonçalves – clarinet, bass clarinet
Rosana Guedes – oboe
Catherine Carignan – fagott
Alma Maria Liebrecht – horn
Ana Cecilia – trumpet
Natália Porto Coimbra – trombone, euphonium
Joanna Bello – 1st violin
Laura Von Atzingen – 1st violin
Jovana Trifunovic – 2nd violin
Tatiana Martins – 2nd violin
Ana Calina – viola
Kamila Druzd – viola
Lauriza Anastacio – cello
Elise Pittenger – cello
Camila Rocha – contrabass
Natália Mitre – percussion
José Izquierdo – percussion
Charles Tixier – synthsizer, MPC, samples
Feauturing :
Silvana Estrada – vocal (2)
Rainha Isabel Casimira – vocal (5)
Sérgio Pererê – vocal (6)
Iara Rennó – vocal (7)
Mauricio Tizumba – percussion, vocal (8)
Lvrod – vocal (10)