UKジャズの最先端を行く完璧なサウンド・デザイン。ロンドン発・BOREAL SUN、デビューEP

BOREAL SUN - DAWN

ロンドンの最先端ジャズ、Boreal Sun、驚嘆のデビュー作

スウェーデン出身のヴォーカリスト、リサロッテ・オストブロム(Liselotte Östblom)と、マルチ奏者/プロデューサーのマット・ロバーツ(Matt Roberts)によるロンドンのユニット、BOREAL SUNのデビューEP『DAWN』が素晴らしい。生バンドはフュージョンからアシッドジャズ、ファンク、ネオソウルなどを自然と取り入れたグルーヴを生み出し、リサロッテの圧倒的な歌唱力が全体を引き締める。またまたロンドンから面白いグループが登場した。

EPの短い導入のあとに始まる(2)「New Beginning」から、彼らの才能が本物だと確信できる。フルートのガレス・ロックラン(Gareth Lockrane)、パーカッションのイヒエル・カマラ・オノノ(Yahael Camara Onono)がフィーチュアされた楽曲で、難解だが不思議と心地良いリズムが最高の1曲だ。

(2)「New Beginning

巧みなコード進行とメロディーライン、クリストファー・ハーグリーヴス(Christopher Hargreaves)による誠実で的確なベースライン、マット・ロバーツを中心としたブラス隊、生バンドに効果的に絡むエレクトロニック。ジョシュア・ブラックモア(Joshua Blackmore)のドラムスはグルーヴの根幹をつくる。総勢10名以上のバンドの楽器それぞれの特色をアレンジの中でうまく活かし、印象的な場面転換をつくる編曲の技術も天才的なセンスを感じさせる。おそらくはマット・ロバーツのハーモニーやリズムといった音楽の基本要素への解像度の細かさと、それを実演するリサロッテ・オストブロムや演奏陣のクリエイティヴな感性が見事な化学反応を誘引し、奇跡的に完璧な音楽を作り上げているのだろう。

(3)「Horizon (Now Is the Time)」

サウンドデザインも相当に優れている。編曲とサウンドはパズルのように緻密に組み立てられ完成されており、地味ながら今作の魅力を最大化する。特に(4)「<html> Code」は楽曲のあらゆる場面が非常に繊細な注意を払い構築されており、素晴らしいと感じる。続く(5)「Gold」へのほぼシームレスな繋ぎ方も最高だ。

(4)「<html> Code」

Liselotte Östblom – vocals, backing vocals
Matt Roberts – Rhodes, synths, trumpet, flugelhorn, tenor horn

Billy Adamson – guitars
Christopher Hargreaves – bass
Joshua Blackmore – drums
Pedro Segundo – percussion
Robin Mullarkey – synths
Yahael Camara Onono – percussion
Simmy Singh – violin, viola
Gareth Lockrane – flute, piccolo, alto flute, bass flute
Jon Shenoy – alto saxophone, baritone saxophone, bass clarinet
Raymond James Mason – trombone
Emma Rawicz – tenor saxophone
Lewis Moody – synth programming

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