キャロライン・ショウ&ソー・パーカッション新作
グラミー賞受賞作曲家/シンガーのキャロライン・ショウ(Caroline Shaw)と、ブルックリンを拠点に活動する打楽器集団ソー・パーカッション(Sō Percussion)のコラボレーション最新作『Rectangles and Circumstance』。幾重にも声を重ねるキャロラインの表現手法と、“叩けるものは何でも叩く”集団によるポスト・クラシカルの注目作だ。
和音もしっかりと楽曲の構成の中に組み込まれており、彼らの“打楽器”の定義をあらためて問いたい気持ちは我慢しつつ、今作も洗練された音楽を存分に楽しめる仕上がりとなっている。(2)「Sing On」は最初の傑作で、曲調はシンプルだが巧妙な打楽器のアレンジと、丁寧に重ねられたキャロライン・ショウの声が彼ら独自の音世界に誘う。
歌詞は19世紀の詩というコンセプトで収集され、最終的にはクリスティーナ・ロセッティ(Christina Rosetti, 1830 – 1894)、エミリー・ブロンテ(Emily Brontë, 1818 – 1848)、エミリー・ディキンソン(Emily Dickinson, 1830 – 1886)、ガートルード・スタイン(Gertrude Stein, 1874 – 1946)、ウィリアム・ブレイク(William Blake, 1757 – 1827)といったイギリスやアメリカ合衆国の詩人たちの作品から引用されている。
革新的な作曲家と、日本語「奏」に由来する打楽器集団 略歴
キャロライン・ショウ(Caroline Shaw)は1982年生まれの作曲家/ヴァイオリン奏者/歌手。
母親の指導のもと2歳からヴァイオリンを始め、10歳頃からモーツァルトやブラームスの室内楽を模倣しながら曲を書き始めた。幼少時は医者で音楽好きの父親が弾く子守唄代わりの奇妙なピアノ──彼はメトロノームのリズムから外れたまま弾き続けるという特異な(?)才能を持っていた──の素晴らしいポリリズムを直したいと思いながら眠りについていたという。
2013年にヴォーカル・アンサンブル・グループ“Roomful of Teeth”名義の独創的なアカペラ作品『Partita for 8 Voices』(8声のためのパルティータ)でピューリッツァー賞を最年少(30歳)で受賞。
2020年にはアルバム『Orange』でグラミー賞の最優秀室内楽・小編成アンサンブル・パフォーマンス賞を受賞した。
ソー・パーカッション(Sō Percussion)は1999年にニューヨークで結成された打楽器奏者4人組のグループ。
グループ名の「Sō」は日本語の「奏」に由来し、これはメンバーのジェイソン・トロイティング(Jason Treuting)の姉妹の発案とのこと。2004年にアルバム『So Percussion』でデビュー、以降ジャンルを超えて様々な作曲家やバンドなどと共演を行ないながら20枚以上のアルバムをリリース。多岐にわたる音楽性は“精密さと無秩序、厳格さと荒々しさ”と評されている。
Caroline Shaw – vocals
Sō Percussion :
Josh Quillen
Adam Sliwinski
Jason Treuting
Eric Cha-Beach