中南米の多様なルーツに根差した革新的な混血音楽。注目の男女デュオが放つデビュー作『Mestizx』

Ibelisse Guardia Ferragutti & Frank Rosaly - Mestizx

イベリッセ・グアルディア・フェラグッティ&フランク・ロザリー

『Mestizx』は、公私共にパートナーであるボリビア出身の女性シンガーソングライター/マルチ奏者イベリッセ・グアルディア・フェラグッティ(Ibelisse Guardia Ferragutti)と、プエルトリコにルーツを持つシカゴ出身の男性ジャズドラマー/パーカッショニスト、フランク・ロザリー(Frank Rosaly)の共同名義によるデビューアルバムだ。アルバムタイトルは中南米におけるスペイン植民地時代に性別を問わず“混血の人”を意味する言葉として使われたもので、ブラジル、ボリビア、プエルトリコという二人のルーツから来る文化的多様性と、脱植民地という重要なテーマをアーティスティックに扱っている。

「私は家ではプエルトリコ人として育ちましたが、家の外ではそれを隠すように教えられた。スペイン語を話すことは許されていなかったので、ドラムがやがて私の言語となり、密かに私の故郷とのつながりを感じさせるようになった」とフランク・ロザリーは語る。イベリッセ・フェラグッティは本作について「私の個人的な見解だけど、植民者と被植民者、抑圧者と被抑圧者、悪魔と天使を運ぶ血統の間に位置していることに由来している」と補足する。つまり、ポスト植民地主義の社会構造に結びついており、ボリビア人として私たちはそこに踏み込まなければならないんだ。これはほとんど、500年続く小説みたいだ」

(2)「Destejer」

このアルバムを再生した人は、彼らがいかに優れた芸術家であるかをすぐに感じ取るだろう。
そのサウンドにはテクニカルな面では伝統と革新が高度に同居しており、それを確かな精神性で繋いでいる。リスナーは『Mestizx』のなかにアートロック、ジャズ、パンク、カンドンブレ、クンビア、アヴァンギャルド、エレクトロニカ、etc…といった多様な音楽的・文化的エッセンスを発見するはずだ。

(4)「Turbulência」

そして特筆すべきは、そうした重厚な主題にもかかわらず、ポピュラー・ミュージックとして多くの人に訴求できる音楽へと仕立てられており、リスナーを無我の高揚へと連れていけるだけの普遍的な伝達性を秘めていることだと感じる。彼らの音楽はプリミティヴなようでいて明らかに洗練されており、時代の先を見据えている。

Ibelisse Guardia Ferragutti – voice, Farfisa, Prophet, Buchla, Wurlitzer, percussion, acoustic guitar, guiro, panderetas
Frank Rosaly – mbira, drums, congas, percussion, synthesizers, Octatrack mkII, Elektron Analog 4, pandeiro, drum machine programming, panderetas, electronics

Chris Doyle – piano, Hammond, Philicorda, MS-20, Pulse synth, synthesizers
Ben LaMar Gay – cornet
Rob Frye – flute
Matt Lux – electric bass, effect pedals
Mikel Patrick Avery – percussions
Bill MacKay – electric guitar, acoustic guitar, requinto
Daniel Villarreal-Carrillo – congas
Viktor Le Givens – voice message
Avreeayl Ra – drums
Guilherme Granado – synth bass, electronics
Fredy Velásquez – harmonica, Awa vocalizations, chacapa, percussion

Ibelisse Guardia Ferragutti & Frank Rosaly - Mestizx
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