SSWロリサン・セシェレのデビュー作
南アフリカ・プレトリア生まれの作曲家/シンガー、ロリサン・セシェレ(Rorisang Sechele)が初のアルバム『The Seed』で華々しいデビューを飾った。彼女のプロジェクト「In Full Bloom」は花(とりわけ、蘭)のライフサイクルの各段階にインスピレーションを得ており、歌詞と音で自己発見の本質を捉えている。そのプロジェクト発の最初のリリースである本作では、成長の最初期の段階についての考察を、ジャズ、ソウル、R&Bを巧みに融合したサウンドで美しい物語に仕立て上げた。
まさにジャズのニュー・ヒロインの登場だ。
ロリサン・セシェレの音楽への愛情は最初に児童合唱団で始まり、クラシック音楽のレッスンを受け、ツワネ工科大学でジャズとポピュラー音楽を学ぶ中で大きく育まれていった。2021年には南アフリカを代表するピアニストであるンドゥドゥーゾ・マカティニ(Nduduzo Makhathini)が指導するスタンダード・バンク・ナショナル・ユース・ジャズバンド(Standard Bank National Youth Jazz Band)に所属。他にもさまざまな共同プロジェクトでの活動により、彼女は現在の南アフリカの音楽シーンで注目される存在となっている。
その理由は、今作を聴けば誰もが納得するはずだ。新人とは思えない圧倒的なスケール。ストーリーテラーとしての魅力。印象的な(3)「Inner Peace」ではプロジェクトのテーマである蘭のライフサイクルにおける”休眠期”について、彼女はこう語っている:
「蘭は開花にエネルギーを使い果たした後、成長が遅くなるか、完全に止まります。しかし、この休止は植物の死を意味するのではなく、むしろ休眠が不可欠なのです。休眠によって植物は休息し、活力を取り戻し、次の成長段階と開花に備えることができます」
彼女の旅は、目的地に到達することだけを目的としていない。立ち止まること、道に迷うこと、時には逆戻りをすることも含めてそのプロセスに意味を見出している。そうした人生についての重要な示唆が彼女の音楽をより深く心地よいものにしていることは確かだ。
「休眠期には、自分を他人と比較するのは簡単です。特に、仲間が成長しているのを見るとそうなります。しかし、自分を同じ庭に咲くたくさんの花の中でユニークな一輪の花と考えることで、自分自身が休息と再生の時期にあるときでも、自分の開花期を受け入れ、他人の成長の瞬間を祝うことを学べたのです」
ロリサン・セシェレの音楽への探求は始まったばかりだ。おそらく、これからとんでもなく美しい花を咲かせるのだろう。今からそれが楽しみだ。