天才ドラマー、オフリ・ネヘミヤの過去から現在までの自己実現の旅路。『Time Traveler』

Ofri Nehemya - Time Traveler

オフリ・ネヘミヤが最強カルテットを率い録音した新譜

現代ジャズ、とりわけイスラエル・ジャズのキーマンと言えるドラマーのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)が新作『Time Traveler』をリリースした。バンドはカルテット編成で、ピアノにトメル・バール(Tomer Bar)、ギターにニツァン・バール(Nitzan Bar)、ベースにタル・マシアハ(Tal Mashiach)という、全員が既にリーダー作を何枚もリリースしており、まさに若手最強のメンバーを揃えたと言って過言ではないだろう。

収録の8曲はすべてオフリ・ネヘミヤが10代の頃に作曲したもの。彼はこの作品についてアルバムを「過去と現在の架け橋」と表現し、自身が若い頃に書いた曲を、その後の国際シーンでの経験も統合した現在の視点で再構築したと語っている。

(5)「Armors And Doubts」

メンバーがメンバーだけに、どの曲も驚くべき感性と技巧、熱量がせめぎ合う創造的で充実した音楽体験が約束されている。(1)「Drive」での現代的でドラマティックな展開と強いグルーヴ。オフリ・ネヘミヤの繊細さと力強さを持ち合わせた推進力のあるドラミングと、とりわけ後半でのニツァン・バールのソロに度肝を抜かれる(3)「Just Sayin’」。中東音楽の影響が表れた5拍子の(5)「Armors And Doubts」、トメル・バールが弾くローズピアノが70年代フュージョンの雰囲気を醸す(7)「Endless Universe」も素晴らしい。(8)「One For Myself」はスピリチュアルに昂るソロ・ドラムが見事だ。

Ofri Nehemya プロフィール

オフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)は1994年にイスラエル・ギヴァタイムで生まれた。ドラマーの父親、歌手の母親という家庭に育ち、彼も3歳からドラムスを始めすぐにその才能を開花させた。12歳からクラシックとジャズのピアノのレッスンも受け、ハーモニーや作曲の基礎を学んだ。その後テルマ・イェリン高等学校から米国バークリー音楽大学に進学。在学中にはイスラエルを代表するベーシストのアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)とツアーや録音を行なっている。

これまでにシャイ・マエストロ(Shai Maestro)のトリオを始め、国内外のさまざまなミュージシャンと共演するファースト・コールとなっている。彼はまた、ピアノのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、ベースのタル・マシアハとともにレビュラー・トリオ「GTO Trio」でも活躍、度々来日公演も行っている。

Ofri Nehemya – drums
Tomer Bar – piano, Rhodes
Nitzan Bar – guitar
Tal Mashiach – bass

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