急速に変化する現代社会を問う、鬼才ギター奏者ピエール・ペルショーの新譜『不滅の花』│Musica Terra

急速に変化する現代社会を問う、鬼才ギター奏者ピエール・ペルショーの新譜『不滅の花』

Pierre Perchaud - Fleur d'immortelle

鬼才ギタリスト、ピエール・ペルショー 7年ぶりの新作

フランスの現代ジャズシーンで活躍するギタリスト/作曲家、ピエール・ペルショー(Pierre Perchaud)が7年ぶりのリーダー作となる『Fleur d’immortelle』をリリースした。ダンサブルなリズムに、エレクトリック・ギターやシンセをフィーチュアした(1)「Go on」から、随所に前衛的な表現を交えたサウンドが刺激的な好盤となっている。

今作のバンドはピエール・ペルショーが10年前に結成したバンド「The Watershed」をベースとしている。ドラムスのカール・ジャニュスカ(Karl Jannuska)、鍵盤のトニー・パエルマン(Tony Paeleman)、サックスのクリストフ・パンザーニ(Christophe Panzani)は当時からの深い信頼関係で結ばれた仲間だ。今作はここにトロンボーン奏者ロビンソン・クーリー(Robinson Khoury)が加わり、2管編成となってより色彩豊かなジャズを聴かせてくれる。

アルバムは「時間の流れ」や「現代社会の喧騒と静けさの対比」をテーマに掲げており、熱狂と静けさが共存する二面性が魅力的だ。ベーシストがいないため、低音はトロンボーンやバスクラリネット、シンセベースなどで対応。メンバーの演奏は作曲と即興の境界が曖昧で、とりわけ少ない音数で空間を織り成すようなアプローチが独特でとても良い。

(5)「Echappée belle」

アルバムのタイトルはフランス語で「不滅の花」の意味。ピエール・ペルショーは、この言葉に急速に変化する現代社会のスピード感と、資本主義と消費文化に対する想いを込めたという。彼がこの斬新な音楽を通して探求するのは「どうすれば時間を遅らせ、本質を感じることができるのか?」という哲学的な問いだ。

(2)「Picking the wind」

Pierre Perchaud 略歴

ピエール・ペルショーはフランスのジャズギタリスト、作曲家、バンドリーダーとして25年以上にわたり活躍する音楽家。1981年に音楽一家に生まれ、シャラント県で育った。6歳の頃からクラシックギターを学び、後にジャズに傾倒。パリ国立高等音楽院(CNSMDP)でジャズを専攻し、技術と即興演奏の基盤を築いた。2000年代初頭からパリのジャズシーンで頭角を現し、サイドマンとしてアン・パセオ(Anne Paceo)、ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)、ソフィー・アルール(Sophie Alour)、ヴァンサン・ペイラーニ(Vincent Peirani)、エミール・パリジャン(Emile Parisien)らと共演。繊細かつ表現力豊かなギタープレイで評価される。

サイドマンとしての活動と並行し、彼は自身の楽曲やアイディアを蓄え、2010年に初のアルバム『Par quatre chemins』をリリース。2013年には『Waterfalls』をリリース、2016年にはホルヘ・ロッシ(Jorge Rossy)らと『Fox』を発表し、リーダーとしての才能を示した。2025年2月、7年ぶりのリーダー作『Fleur d’immortelle』をリリース。トロンボーンやサックスを加えたクインテットで、時間の流れや現代社会の省察をテーマに、詩的かつダイナミックなジャズを展開した。

Pierre Perchaud – electric guitar, acoustic guitar
Karl Jannuska – drums
Tony Paeleman – piano, Rhodes, synthesizer
Christophe Panzani – saxophone, bass clarinet
Robinson Khoury – trombone

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