ベラルーシ発の白昼夢的ブラジリアン・サウンド SOYUZ、東欧の社会情勢も反映した新譜

SOYUZ - KROK

ベラルーシのソユーズ(СОЮЗ)新譜『KROK』

マルチ奏者のアレックス・チュマク(Alex Chumak)を中心に2018年に結成されたベラルーシのグループ、ソユーズSOYUZ, ベラルーシ語:СОЮЗ)。隣国ロシアのウクライナ侵攻による政情不安からアレックスと、オリジナルメンバーであるミキタ・アルー(Mikita Arlou)とアントン・ネマハイ(Anton Nemahai)は2022年にポーランド・ワルシャワに移り住み、その後ポーランド人の新たなメンバーも加えて4thアルバムとなる『KROK』を発表した。

アルバム・タイトルの「KROK」はベラルーシ語で「ステップ」を意味し、ベラルーシの政治的混乱とウクライナ戦争による移住といったバンドの最近の旅路を反映している。歌詞は彼らが従来、旧ソ連圏諸国の共通語として使用していたロシア語から母語のベラルーシ語に切り替えられており、夢、外宇宙、日常の奇跡といった近さと遠さをテーマにした9曲を収録。音楽性はこれまでのように憧憬のように通底するブラジル音楽に東欧の文化を融合し、少しレトロなサウンドで仕上げたものだが、今作はさらにどこかメランコリックな風情を漂わす。

録音は主に2024年末にブラジルのサンパウロのセッサ(Sessa)のスタジオで行われ、オ・テルノ(O Terno)のチン・ベルナルデス(Tim Bernardes)やビエル・バジーリ(Biel Basile)らブラジルのミュージシャンも参加。一部の楽曲はポルトガル語で歌われている。

(1)「Крок / Krok」

チン・ベルナルデスが物憂げに歌う(2)「Lingua Do Mundo」、『街角クラブ』のロー・ボルジェス(Lo Borges)を彷彿させる(4)「Калі ты запытаеш / Kali ty zapytaješ」、洒落たブラジリアン・グルーヴ(6)「P7 Blues」にコズミック・サイケな(7)「Voo Livre」も良い。
ラストの(9)には日本のSSW角銅真実が日本語のポエトリー・リーディングで参加している。

Alex Chumak – vocals, acoustic guitar, nylon guitar, 12-string guitar, electric guitar, piano, Fender Rhodes, Korg MS-10, Minimoog
Marcelo Cabral – electric bass
Biel Basile – drums
Karolina Gutowska – violin
Olivia Bujnowicz-Wadowska – violin
Iwona Piskorska – viola
Katarzyna Stasiewicz – cello
Gabriela Ziniewicz – flute
Piotr Domagalski – upright bass

Guests :
Tim Bernardes – vocal (2)
Manami Kakudo – poetry reading (9)

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