NYの地下ジャズシーンの雄イルハン・エルシャヒン、アナドルロックも取り込んだ注目の新作

İlhan Erşahin - Istanbul Sessions: Mahalle

イルハン・エルシャヒンの『イスタンブール・セッション』続編

トルコにルーツを持つスウェーデン出身のサックス奏者/作曲家であり、2000年代にニューヨーク・マンハッタンのライヴハウス、ヌブル(Nublu)の音楽文化を牽引したイルハン・エルシャヒン(İlhan Erşahin)の6枚目となるアルバム『Istanbul Sessions: Mahalle』がリリースされた。トルコの音楽に影響されたプロジェクト『Istanbul Sessions』(2010年)の続編であり、リリース元はもちろん、彼が2005年に設立したヌブル・レコード(Nublu Records)。

今作のバンドはサックス、ベース、ドラムス、パーカッションというコードレス・カルテットで、イルハン・エルシャヒンのサックスに必然的に耳を惹かれる編成だ。ベースのアルプ・エルソンメス(Alp Ersönmez)、パーカッションのイゼット・キズィル(Izzet Kizil)、ドラムスのトゥルグト・アルプ・ベコグル(Turgut Alp Bekoglu)も全員がトルコ出身で、サウンドの随所にサイケデリックなアナドル・ロックの影響が感じられることも特徴的。

アルバムタイトルにある「Mahalle」とは、トルコ語で「近所」や「コミュニティ」を指す。イスタンブールの街をテーマに、歴史的に交易によって混淆し続け、変化を続ける街、それでいて独特の空気や文化を保持し続ける街。ここに収められた彼の音楽はそんな情景を描いているように思える。ジャズファンク、シネマティック・ジャズ、サイケロック、アナドル・ロックなど、いずれの要素もあり、そのいずれでもない独特の雰囲気。活気に満ちた市場のような、そこにいるだけでワクワクしてしまうような異国情緒溢れる音が楽しい。

(2)「Asmalı」

İlhan Erşahin プロフィール

イルハン・エルシャヒンは、1965年スウェーデン生まれ。スウェーデン人の母とトルコ人の父を持ち、ストックホルムで生まれ育った。幼少期に兄姉の影響でロック、ジャズ、ボサノヴァ、ワールドミュージックなどに感化。10代で独学でサックスを始め、ジョン・コルトレーンやセロニアス・モンク、マイルス・デイヴィスに傾倒した。

1980年代後半に渡米し、ボストンのバークリー音楽大学に短期間在籍した後、1990年からニューヨークを拠点にテナーサックス奏者として活動し、ジャズを基盤にワールドミュージック、電子音楽、ファンク、パンク、レゲエを融合させた独自のスタイルを確立。代表的なプロジェクトにWax Poetic、Istanbul Sessions、Love Trioがあり、Istanbul Sessionsではイスタンブールの文化をテーマにした即興セッションを展開している。

音楽プロデューサーとしても活躍し、2002年にニューヨークのイースト・ヴィレッジにヌブル・クラブ(Nublu Club)をオープン。同クラブはジャズのアンダーグラウンド・シーンを象徴する場となり、2005年にはヌブル・レコード(Nublu Records)も創立した。

これまでにノラ・ジョーンズ(Norah Jones)やブッチ・モリス(Butch Morris)、エリック・トラファズ(Erik Truffaz)、ブッゲ・ヴェッセルトフト(Bugge Wesseltoft)らとコラボレーションしている。
また、イスタンブール・アンダーグラウンド・ジャズ・フェスティヴァルのキュレーターを務め、トルコとニューヨークの音楽的な橋渡し役も果たしている。

Ilhan Ersahin – tenor saxophone
Alp Ersonmez – bass
Izzet Kizil – percussion
Turgut Alp Bekoglu – drums

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