フェーン・トリオ新作『真夜中の太陽』
フランス・リヨンを拠点とするピアノトリオ、フェーン・トリオ(Foehn Trio)の4枚目のアルバム『Soleil de Minuit』がリリースされた。これまでの作品で、現代的なアコースティック・ピアノトリオとしてアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)などのイスラエルジャズに影響を受けたサウンドで強い印象を与えてきた彼らだが、今作ではその基盤を残しつつもエレクトロニックの比重が大幅に増加。さらにはエチオピア系フランス人シンガーのフルール・ウォルク(Fleur Worku)を3曲でフィーチュアするなど、新基軸を示す鮮烈な作品となっている。
アルバムを再生すると、そのシャープで洗練されたサウンドにまず驚かされる。アルバムタイトル「Soleil de Minuit」をそのまま英語にしたオープニング・トラック(1)「Midnight Sun」は象徴的で、アコースティックとエレクトロニックの緊張感のある絶妙な融合や、牽引力のあるロック寄りのドラムスの訴求力は抜群。つづく(2)「Moksha」でのフルール・ウォルクによるソウルフルな歌唱のインパクトもあわせ、いよいよ彼らが立つべき舞台が変わったと感じさせる。
今作はアコースティックなピアノトリオならではの駆け引きや、プログレ的要素の面白味は若干薄れたものの、細部まで丁寧に練り込まれたサウンドがジャンルの枠を超えてリスナーに新鮮な音楽体験を与えることは間違いない。
フェーン・トリオ(Foehn Trio)は2016年にフランス・リヨンで結成された。
トリオ名はアルプスを吹き越す風、フェーンが由来。メンバーはピアニスト/作曲家でリーダーのクリストフ・ワルドナー(Christophe Waldner)、ベーシストのシリル・ビヨー(Cyril Billot)、ドラマーのケヴィン・ボルケ(Kevin Borqué)の3人で、結成当時から今も変わらない。
Fœhn Trio :
Christophe Waldner – piano, keyboards
Cyril Billot – double bass, synth bass
Kevin Borqué – drums
Guest :
Fleur Worku – vocal (2, 5, 8)