フランス発の“イスラエル・ジャズ”!Foehn Trio『Highlines』

Foehn Trio - Highlines

フランスなのに音はイスラエル・ジャズ!? フェーン・トリオ

フランス・リヨンを拠点に活動するピアノトリオ、フェーン・トリオ(Foehn Trio)。イスラエルジャズ、特にアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)の音楽からの影響が色濃く反映されていたデビュー作『Magnésie』(2017年)に続いてリリースされた2枚目のアルバム『Highlines』(2020年)は、前作の雰囲気を継承しつつもより個性や現代的な音楽を模索。シンセやエフェクターの利用も増え、多彩な音を楽しめる作品に仕上がっている。

今作では(3)「Danse pour Gaia」でフルート奏者のジョス・ミーニエル(Joce Mienniel)が、さらに(6)「Old Ocean」ではトランペットのエリック・トラファズ(Erik Truffaz)がゲスト参加し、若いトリオへのエールを送る。

フェーン・トリオの魅力は(多くのイスラエル・ジャズがそうであるように)エキゾチックな誘惑を秘めたリズムとハーモニー、そしてアコースティックとエレクトリックの絶妙な融合にある。おすすめは(2)「La Barma」、クレイジーなフルートが舞う(3)「Danse pour Gaia」、シンセ・ジャズ(4)「Free Ride」、エリック・トラファズのトランペットが幻想的な世界に導く(6)「Old Ocean」など。どの曲も新鮮でかっこいい!

人気トランペット奏者、エリック・トラファズがゲスト参加した(6)「Old Ocean」

2016年に結成されたフェーン・トリオ。そのバンド名はアルプス山中で吹く局地風(フェーン現象、といえば聞いたことがあるだろう)に因んでいる。音を聴けば即座にわかるように、アヴィシャイ・コーエンやシャイ・マエストロといったいわゆる“イスラエル・ジャズ”の影響を強く受けており、フランスのピアノトリオながら音は完全にイスラエルのそれだ。他にもブラッド・メルドーやエスビョルン・スヴェンソン・トリオからも影響を受けたと公言している。

フランスらしさを感じられるのは同国が生んだ偉大な作曲家エリック・サティの(5)「Gnossienne No.1」。その音楽性を損ねず大胆にアレンジされたこの演奏は数あるクラシックのジャズカヴァーの中でも異彩を放つ印象的なものになっている。

サティの「グノシエンヌ第1番」のカヴァー
(1)「Wolves」

Fœhn Trio :
Christophe Waldner – piano, keyboards
Cyril Billot – double bass, synth bass
Kevin Borqué – drums, effects

Guests :
Joce Mienniel – flute (3)
Erik Truffaz – trumpet (6)

Foehn Trio - Highlines
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