コロンビアのサイケ・ファンク・トリオ、BALTHVS 新作
コロンビア・ボゴタを拠点とするワールド・サイケデリック・ファンク・トリオ、BALTHVS(バルトゥス)の新譜『Transmutations』は、熱気あるライヴ音源を、その後スタジオで再構築した珍しい“ハイブリッド”なアルバムだ。自由奔放なグルーヴとタイトなアレンジが共存、疾走するサイケデリックなギター、ラテン・ロックの陽気さ、スピリチュアル・ジャズを思わせる即興、ファンキーなベースライン。リスナーは踊り出さずにはいられないだろう。
2020年結成で早くも今作が5作目のフルレンス・アルバムとなる多作なBALTHVSにとって、ライヴは魂が解放される瞬間だった。彼らはスタジオ録音によるアルバムと、生演奏によるライヴは全く異なる体験であることを世界に示したいと考え、2025年5月〜12月にかけて行われたEP『Flesh and Soul』リリースに伴うワールドツアー(特に11月、12月の欧州ツアー)でのライヴ音源を素材とし、米国カリフォルニア州サンディエゴとコロンビアの首都ボゴタで追加のスタジオ録音を敢行。結果、ライヴの熱狂を閉じ込めつつ、スタジオ・アルバムほどにクオリティを高めたアルバムが完成した。
アルバムには彼らの過去作からの新録(曲名に「Alchemized」とついているもの)や、このツアーで披露された新曲を収録。ギターのバルタザール・アギーレ(Balthazar Aguirre)の憧れの存在であるグレイトフル・デッド(Grateful Dead)の(7)「Shakedown Street」のカヴァーも収録されている。
幕開けとなる(1)「Ojos Verdes」は『Third Vibration』(2023年)からの選曲。つづく(2)「LSD In Bahia」は前曲からのメドレーとなっており、ここではブラジル音楽史を代表するギタリストのバーデン・パウエル(Baden Powell , 1937 – 2000)の曲「Canto De Ossanha」が引用されている。トロピカリア1やアフロ・ブラジル文化の中心地であるバイーア2へのリスペクトを表現した、最高のオープニングだ。バンドの特徴であるサイケデリックな感覚と、幻覚剤である「LSD」を冠したタイトルが、アルバムのテーマとして掲げられた「Transmutations(変容)」とリンクする。
BALTHVSのオリジナル・ベーシストであるヨハンナ・メルクリアーナ(Johanna Mercuriana)は2025年ツアーの序盤までで産休に入ったため、ヨーロッパ・ツアー含むアルバムの大部分のベース/女性ヴォーカルは、一時的な代役として起用されたバネッサ・ムニョス(Vanessa Muñoz)が務めている。
ヨハンナ・メルクリアーナは2026年にバンドに復帰。今作ではバネッサ・ムニョス版のライブ音源とヨハンナの新録が混在し、出会いと別れを象徴するような位置付けも見逃せない。
BALTHVS 略歴
バルトゥス(BALTHVS)はコロンビアのボゴタを拠点とするワールド・サイケデリック・ファンク・トリオ。2020年に結成され、元法学部生でロッククライミング事故を機に音楽の道へと進んだギタリストのバルタザール・アギーレ(Balthazar Aguirre)を中心に、ベースのヨハンナ・メルクリアーナ(Johanna Mercuriana)、ドラマーのサンティアゴ・リスカノ(Santiago Lizcano)の3人で活動を開始した。
音楽スタイルは“ワールド・サイケデリック・ファンク”と称され、サイケデリック・ロック、サーフ・ロック、ファンク、ダブ、中東音楽、コロンビア伝統のクンビアなどを融合させた独自のグルーヴを特徴とする。
デビュー・アルバム『Macrocosm』(2020年)を皮切りに、『Cause & Effect』(2022年)、『Third Vibration』(2023年)と立て続けに作品を発表。デジタル・プラットフォームを通じて世界中にファンを広げ、2024年にはアメリカの伝説的フェスティバルであるボナルー・フェスティヴァル(Bonnaroo Music and Arts Festival)に出演するなど、インディーズ・シーンで急速にファンを広げている。
BALTHVS :
Balthazar Aguirre – guitar, vocal
Johanna Mercuriana – bass, vocal
Vanessa Muñoz – bass, vocal
Santiago Lizcano – drums