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田方 春樹(Haruki Tambo)

  • 2023-04-08
  • 2023-04-08

エルチン・シリノフ、ムガームジャズの真髄に迫る2018年の自主制作盤『Waiting』

2019年から2022年10月まで、アヴィシャイ・コーエンのトリオに参加したことで国際的に知られるようになったアゼルバイジャン出身のピアニスト、エルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)。彼が2018年に自主制作しライヴ会場限定などで限定的に売っていた個人名義での初リーダー作『Waiting』が、デジタル・プラットフォームで配信開始された。

  • 2023-04-07
  • 2023-04-06

沈黙とトランス、美を探求する“癒しの儀式”。シリア系フルート奏者ナイサム・ジャラル新譜

コンテンポラリー・ジャズやアラブ音楽、ヒップホップなど幅広い分野で活躍するフランス在住シリア系フルート奏者、ナイサム・ジャラル(Naïssam Jalal)の9枚目のアルバム『Healing Rituals』は、彼女が数週間の入院生活で過ごした時間の中からインスピレーションを得たという架空の癒しの儀式(= Healing Rituals)である。

  • 2023-04-06
  • 2023-04-01

アフリカとヨーロッパを融合する厳かで美しいアンサンブル『Les Égarés』

マリ出身のコラ奏者バラケ・シソコとフランス出身のチェロ奏者ヴァンサン・セガール、そして共にフランス出身のソプラノサックス奏者エミール・パリジャンとアコーディオン奏者ヴァンサン・ペイラーニの4人が初めてカルテットを組み、それぞれの楽曲を持ち寄って制作した『Les Égarés』はジャズ、クラシック、アフリカ音楽、フランス音楽などがバランスよく融合した穏やかで美しく、厳粛な作品に仕上がっている。

  • 2023-04-05
  • 2023-04-05

TikTokから火がついたMPB新世代SSW、ルーカス・マメーヂのデビュー作!

ブラジル・ペルナンブーコ州都レシーフェのシンガーソングライター、ルーカス・マメーヂ(Lucas Mamede)はTikTokで100万人以上のフォロワーを抱える人気者だ。彼は高校3年生の2020年からギターでの弾き語り動画をTikTokにアップし始めるとすぐにファンがつき始め、2021年に3曲のオリジナルをシングルでデジタル・リリース。特に『Conto os Dias』は大ヒットし、北東部の新世代の音楽家の登場を強く印象付けた。

  • 2023-04-04
  • 2024-05-12

南アの新星ノブレ・アシャンティ、瑞々しい感性を反映したデビュー作『Bait For Steps Forward』

南アフリカ・ケープタウン出身のピアニスト/作曲家ノブレ・アシャンティ(Nobuhle Ashanti)が『Bait For Steps Forward』で素晴らしいデビューを飾った。豊かな抒情性を湛えた瑞々しい感性のジャズ、ソウル、R&Bを主軸とする音楽で、丁寧かつ現代的なエッセンスを含んだサウンド・プロダクションも魅力的な作品だ。

  • 2023-04-03
  • 2023-04-02

鬼才SSWアドリアーナ・カルカニョット、孤高の深淵と美学を感じさせる新作『Errante』

ブラジルを代表する鬼才SSW、アドリアーナ・カルカニョット(Adriana Calcanhotto)の新譜『Errante』がリリースされた。人生や社会について鋭い視点で切り込むシリアスな作品が続いていた彼女だが、今作のジャケットには笑顔の写真が。だが、アルバムのタイトルは“徘徊”あるいは“放浪”の意味で、やはり今作も一筋縄ではいかない作品に仕上がっている。

  • 2023-04-01
  • 2023-04-01

北欧ジャズの金字塔“Liberetto”、交響楽団と魅せる夢見心地の新作『Lars Danielsson Symphonized』

ラーシュ・ダニエルソンの人気プロジェクト“Liberetto”の名曲をシンフォニー・オーケストラで再演する、ファン垂涎ものの作品が登場した。『Lars Danielsson Symphonized』と題された2枚組の今作は、おなじみのカルテットに加え、スウェーデンのイェーテボリ交響楽団(Gothenburg Symphony Orchestra)の絢爛なオーケストラが参加。ジャズ・カルテットとクラシカルなアンサンブルが一体となり、Liberettoシリーズの各作品から厳選された名曲を奏でる。

  • 2023-03-31
  • 2023-03-31

最後のイディッシュ・タンゴ──想像を絶する暴力の史実を後世に伝えるための音楽

カナダのパヤドラ・タンゴ・アンサンブル(Payadora Tango Ensemble) の新譜『Silent Tears: The Last Yiddish Tango』は、ナチス占領下のポーランドでホロコーストを生き延びた人々の記憶と詩で辿る想像を絶する深い悲しみの物語を、ヴァイオリンやピアノ、バンドネオンを中心としたタンゴで歌う傑作だ。

  • 2023-03-30
  • 2023-03-30

西洋音楽とグナワの幸せな出会い。アジズ・サハマウイ&エリック・ロングスワース共演作

モロッコ出身で現代グナワ音楽を代表するアジズ・サハマウイ(Aziz Sahmaoui)と、アメリカ合衆国のチェロ奏者エリック・ロングスワース(Eric Longsworth)による双頭名義の『Il fera beau demain matin jusqu'à midi』。アラビア語、フランス語、英語でフォーク・ミュージックやジャズ、ブルースをグナワ音楽と巧みに融合させる試みだ。

  • 2023-03-29
  • 2023-03-28

スイス発。フルートと女性ヴォーカルが魅力の優美なジャズ・カルテット「8 Octopi」

スイス出身のフルート奏者/作曲家ベン・ザーラー(Ben Zahler)を中心としたカルテット、エイト・オクトパイ(8 Octopi)によるデビュー・アルバム『Errors in Disguise』がリリースされた。バンドにはスイスのジャズシーンで傑出したヴォーカリストであるイザベル・リッター(Isabelle Ritter)らを擁し、軽やかでユーモラスなジャズを聴かせてくれる。

  • 2023-03-28
  • 2023-03-26

微分音際立つ中東ジャズとフラメンコの魔法のような融合。エラン・ホーウィッツのデビュー作

中東の伝統音楽にみられる微分音をふんだんに用いつつ、ヨーロッパ最西端の音楽であるフラメンコの要素も融合した驚くべき音楽だった──。イスラエルはエルサレム生まれのベーシスト/作曲家エラン・ホーウィッツ(Eran Horwitz)のデビュー作 『Pashtut』。アルバムのタイトルは“simplicity(シンプルさ)”を意味するもので、彼の人生を32分間に簡潔にまとめました、ということらしいのだが、その内容の濃密さには驚かされるばかりだ。

  • 2023-03-26
  • 2023-03-26

ウクライナのSSW/バンドゥーラ奏者クルート、伝統と現代性が同居する繊細かつ豊かな傑作

ウクライナのシンガーソングライター/バンドゥーラ奏者クルート(KRUTЬ)の2022年新譜『Літепло』は、フォーク・ミュージックの香りのする繊細で抒情的なサウンドから現代的なネオソウルまで、夜空の星々のようなバンドゥーラの美しい弦の響きと、穏やかで柔らかい彼女の声が胸に沁みる素晴らしい作品だ。

  • 2023-03-26
  • 2023-03-26

終わらない宴の夜に力強く響くバルカン・ブラス。Bubamara Brass Band 新譜『Bubambarbija』

ロシア・モスクワで結成されたブラスバンド、ブバマラ・ブラスバンド(Bubamara Brass Band)の新作『Bubambarbija』がリリースされた。今作も大地に響くヘリコン(スーザフォンの原型となった楽器)やチューバの低音から、アルコールの匂いのするトランペットやサックスまで、本能を直撃する迫力ある最高のバルカン・ブラスが楽しめる。