- 2023-12-04
- 2023-12-04
セルビア・ベオグラード発、バルカン音楽の再構築を掲げるエスノ・ノイズ「Lenhart Tapes」
セルビア・ベオグラード発、“エスノ・ノイズ”を標榜するレンハルト・テイプス(Lenhart Tapes)の2ndアルバム『Dens』。バルカン半島の音楽の再構築を掲げ、ループするサイケデリックなリズムとエスノ・フォークな女性ヴォーカルが強い残り香を残す作品だ。
セルビア・ベオグラード発、“エスノ・ノイズ”を標榜するレンハルト・テイプス(Lenhart Tapes)の2ndアルバム『Dens』。バルカン半島の音楽の再構築を掲げ、ループするサイケデリックなリズムとエスノ・フォークな女性ヴォーカルが強い残り香を残す作品だ。
欧州最大のソング・コンテストである「ユーロヴィジョン」優勝経験のあるウクライナの歌手/作曲家ジャマラ(Jamala)が、故郷クリミアの名を冠した新作『QIRIM』をリリースした。今作はクリミア半島に伝わる古い歌がイスラム文化の特徴をもった素晴らしいオーケストラ・アレンジで収録されており、80人以上のクリミアの音楽家が参加する壮大な作品となっている。
パレスチナのシンガーソングライター、ハヤ・ザートリー(Haya Zaatry)が16歳のときにギターを手にし独学で曲を書き始めたとき、自分と同じようにアラビア語で歌う女性ミュージシャンはほとんどいなかった。だから、彼女は米国のジョニ・ミッチェル(Joni Mitchel)やアルジェリアのスアド・マッシ(Souad Massi)のアルバムが彼女の大きな影響源となった。
ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター、ナンヴラ(Namvula)。彼女のアイデンティティはアフリカ南部の内陸国ザンビアにあり、彼女の音楽もまた、ザンビアの伝統的な音楽スタイルとロック、ジャズ、フォークなどのジャンルを融合させた独自のものを築いている。彼女の新作EP『All Shades of the Sun』は、前作『State of Emergency』で試みたエレクトロニックとの融合は幾分影をひそめ、ギターを中心とした素朴な曲調、丁寧なサウンド・プロダクションが印象的な作品に仕上がっている。
ケチュア族の伝統を伝えるために国際的な活動を続けてきたボリビアの歌手/作曲家、ルスミラ・カルピオ(Luzmila Carpio)の2023年9月リリースの新譜『Inti Watana (El Retorno del Sol)』。タイトルのインティ・ワタナとはインカ帝国の公用語であったケチュア語で「太陽をつなぎとめる場所」という意味で、マチュピチュ遺跡の最も高い場所に置かれている花崗岩の彫刻で広く知られている。
ブラジルのシンガーソングライター、イザベラ・ブレッツ(Isabella Bretz)と鍵盤奏者ホドリゴ・ラナ(Rodrigo Lana)の共同名義のアルバム『Cabeça Fora D'Água』が美しい。二人の共作である(10)「Cabeça Fora D'Água」を除く全曲がイザベラ・ブレッツの作詞作曲。情報過多・不確実な時代に生きる人々に癒しをもたらし、人間らしい生活とは何かを考えさせてくれる10の優れた楽曲が収録されている。
“電気羊飼い”を意味するグループ名を持つフィンランドの3人組ユニット、セーコパイメン(Sähköpaimen)の2ndアルバム『Hämärä』は非常に興味深い音楽作品だ。アルバムタイトル「Hämärä」とは“黄昏”の意味で、昼と夜の曖昧な境界線を彼らの伝統と革新の両方に足を踏み入れた音楽性に喩えている。
ポール・サイモン(Paul Frederic Simon)は1941年10月13日、アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューアークのユダヤ人の中流家庭に生まれた。いつも聖書を読み、神が私たち全員に目を留めておられると信じて育った少年は、その後の長い人生を通じて、彼が“家族”と呼ぶ同じくユダヤ系のアート・ガーファンクル(Arthur Ira Garfunkel, 1941 - )とのデュオ時代を含め、史上最多の13度のグラミー賞を受賞し、ミュージシャンとしては唯一「世界で最も影響力のある100人」に選出されるほどの成功を収めた。
ジャズやボサノヴァ、ショーロの影響を受けたメキシコのシンガー、マゴス・エレーラ(Magos Herrera) の新譜『Aire』は、室内楽オーケストラとジャズバンドをバックに、彼女の深みのある魅力的な歌声を堪能できる素敵な作品だ。
シンガーソングライター/ギタリストのオムリ・ポラット(Omri Porat, ヘブライ語:עומרי פורת)を中心にイスラエルのエルサレムで結成されたグループ、ティユル(Tiyul)のデビュー作『Shibolim』が最高に心地いい。バンドは4人で、オムリ・ポラットによるガットギターとヴォーカルのほか、フルート、ダブルベース、パーカッションという編成。木漏れ日のような温かくオーガニックなアンサンブルは音楽的に非常に洗練されており、リラックスの極致を味わわせてくれる。
スコットランドのヴォーカリスト、ルイーズ・ドッズ(Louise Dodds)と、アゼルバイジャン出身のピアニスト、エルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)のデュオによるスコットランド歌曲集 『Two Hours After Midnight』がリリースされた。スコットランドの原風景を感じさせる素朴で美しい旋律と歌声、個性的で優れた編曲とピアノ演奏がジャズの感性で調和し、耳に優しく響く素晴らしい作品だ。
イスラエル・テルアビブを拠点に活動するインディー・フォークバンド、MIQEDEMの3rdアルバム 『Eshkona』。傑作と絶賛された前作『כרך ב׳』の民族音楽的なニュアンスをそのままに、さらにサウンド面で洗練された音楽に仕上がっている。“休息”をテーマにした今作には安堵はあれど暗澹さはまったくない。全編にわたって感じられるのは辛い時期を乗り越えて未来へ向かう希望だ。
南インド出身の歌手/作曲家/ダブルベース奏者/学者のガナーヴィヤ(Ganavya)と、ブラジル出身のギター/ベース奏者/作曲家ムニール・オッスン(Munir Hossn)。異なる文化的背景を持ちながら、ともに国際的に注目される二人のアーティストによる初のデュオアルバム『Sister, Idea』は、余計なものを一切排除しつつもそれぞれの類稀な感性と圧倒的な技術で相当に深みのある音楽作品となっている。
モロッコ出身で現代グナワ音楽を代表するアジズ・サハマウイ(Aziz Sahmaoui)と、アメリカ合衆国のチェロ奏者エリック・ロングスワース(Eric Longsworth)による双頭名義の『Il fera beau demain matin jusqu'à midi』。アラビア語、フランス語、英語でフォーク・ミュージックやジャズ、ブルースをグナワ音楽と巧みに融合させる試みだ。