TAG

クラリネット

  • 2026-06-13
  • 2026-06-12

ピアノとクラリネットの対話が紡ぐ、コーカサスとバルカンの風景『Il Duo』

コーカサス地方とバルカン半島の旋律が混ざり合い、高度な即興で絡み合う素晴らしいデュオ・アルバムだ。ジョージア出身のピアニスト、ジョルジ・ミカゼ(Giorgi Mikadze)と、北マケドニア共和国出身のクラリネット奏者イスマイル・ルマノフスキー(Ismail Lumanovski)の2026年作『Il Duo』は、全9曲・約34分というコンパクトな作品ながら、コーカサスからバルカン、アナトリア、東地中海へと広がる広大な音楽文化圏の記憶が凝縮されている。

  • 2026-05-31
  • 2026-05-28

女性ヴァイオリン奏者率いるスウェーデンの北欧ジャズ・クインテット新譜『Phoenix』

ノルウェー出身、現在はスウェーデン・ヨーテボリを拠点とする女性ヴァイオリン奏者テレーセ・リーン・エヴェンスタ(Terese Lien Evenstad)率いるクインテットの2026年作『Phoenix』は、ヴァイオリンとクラリネットをフロントに据えた珍しいクインテット編成で、北欧ジャズ特有の静謐さだけではない、生命のエネルギーを感じさせる作品だ。

  • 2026-05-10
  • 2026-05-10

結成40周年。NYのクレズマー・バンド、The Klezmatics 人々が分断される時代への返歌

1986年にアメリカ合衆国ニューヨークで結成され、今年40周年を迎えたクレズマティックス(The Klezmatics)。クレズマー音楽のバンドとしては唯一グラミー賞受賞経験のある彼らの新作『We Were Made For These Times』は、急進的な政治や戦争などによってますます分断の進む現代社会の中にあって、彼らが今あげるべき声を凝縮した作品だ。

  • 2026-05-04
  • 2026-05-02

時を織る経糸と緯糸。ジヴ・ラヴィッツ&クリストフ・パンザニ、音楽の進化の歴史を象徴する傑作

イスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)と、フランス出身のクリストフ・パンザニ(Christophe Panzani)のデュオによる『Warp & Weft』は、おそらく2026年屈指のジャズの名作だ。まるでそのテイクの少なさや、スタジオをレンタルした時間の短さで競うかのように、短期間のセッションでテーマと即興演奏を主体に録音されることの多いジャズという分野の、しかもデュオとしては間違いなく異例の、2年間という制作期間を経て誕生したアルバムは、タイトル「経糸と緯糸」という言葉が喚起するイメージの期待を裏切らない、素晴らしい芸術だ。

  • 2026-04-25
  • 2026-04-25

永遠の故郷を求める望郷のジャズ・クラリネット──パレスチナ出身アハメド・ハワーシュ

今回紹介する作品は、パレスチナの古都イェリコ出身で、現在はベルギーを拠点とするクラリネット/ネイ奏者/作曲家アハメド・ハワーシュ(Ahmed Hawwash)のデビュー作『Eternal Homeland』(2025年)。祖国パレスチナへの望郷滲むタイトルが冠せられた本作は、同地の伝統的な旋律にインスパイアされつつ、ジャズの語法も交えた美しくも儚い音楽が繰り広げられる。

  • 2026-04-12
  • 2026-04-05

フィ・マロスティカ&アレシャンドリ・ヒベイロ、遊び心と多幸感溢れるデュオ・アルバム

卓越した技巧と、繊細かつ大胆な表現力。互いの音に耳を傾け、指先で呼応する。エフェクターで遊び、心から演奏を楽しむ──。ブラジルのベース奏者フィ・マロスティカ(Fi Maróstica)と、クラリネット奏者アレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)は約20年前に初めて会ったときから、互いを昔から知っている“古い友人”であるかのように感じたという。彼らの初のデュオ作である『Devaneio』は、クラリネットとベースという最小限の編成ながら、様々な工夫と遊び心によって彩られた、とても美しいアルバムだ。

  • 2026-03-01
  • 2026-02-21

円熟のベーシスト、マーティン・ウィンドが巨匠ケニー・バロン擁するカルテットで豊かに描くジャズ

ドイツ出身のベーシスト/作曲家、マーティン・ウィンド(Martin Wind)が、ジャズの名手たちを集めたカルテットで語り合うように音を紡ぐアルバム『Stars』をリリースした。ピアノにケニー・バロン(Kenny Barron)、クラリネットにアナット・コーエン(Anat Cohen)、ドラムスにはマット・ウィルソン(Matt Wilson)というオールスター級のメンバーを揃え、音楽の悦びが静かに滲むようなインタープレイが素晴らしい作品となっている。

  • 2026-02-23
  • 2026-02-24

生きるための歌──SSW/クラリネット奏者エズギ・セヴギ・ジャンが背負う、あまりに重い苦難の物語

トルコ出身のシンガーソングライター/クラリネット奏者、エズギ・セヴギ・ジャン(Ezgi Sevgi Can)によるデビュー・アルバム『Karanfiller』が素晴らしい。全曲がエズギ・セヴギ・ジャンの作詞作曲で、彼女自身はヴォーカルとクラリネットを担当。サウンドは親しみやすい西洋音楽と、マカームに根差した微分音や変拍子が見事に融合しており、音楽的にも新鮮な感動がある作品だ。しかしその裏には、彼女と彼女の家族をめぐる悲劇的な運命と、15年以上にわたって闘い続ける、彼女の強さが隠されていた。

  • 2026-02-08
  • 2026-02-02

ターキッシュ・フュージョンの魅力が満載! ピアノとG管クラリネット中心の心踊る傑作『Homeland』

トルコの伝統音楽と技巧的なジャズ・フュージョンの高度な融合に驚かされる。現在進行形のターキッシュ・ジャズを牽引する4人の音楽家による2025年のアルバム『Homeland』は、日本はおろか世界中のほとんどのメディアで言及されていないが、埋もれさせておくには勿体無い“中東の宝石”のような作品だ。

  • 2025-11-27
  • 2025-11-27

クレズマー・クラリネットの王者Yomが、“静寂のリズム”に見出した音楽表現の新境地

“クレズマー・クラリネットの王者”ことフランスのクラリネット奏者/作曲家ヨム(Yom)が、新作『LE RYTHME DU SILENCE』でヴァイオリン奏者テオ・セカルディ(Théo Ceccaldi)とチェロ奏者ヴァランタン・セカルディ(Valentin Ceccaldi)の兄弟とともに、深い瞑想の中に潜む“静寂のリズム”を紡ぎ出す。

  • 2025-11-19
  • 2025-11-18

マケドニアの伝統音楽の新解釈。サノス・スタヴリディス新作『fygame』

ギリシャのアコーディオン奏者/作曲家サノス・スタヴリディス(Thanos Stavridis)と彼のバンド、Drom の新作『fygame』は、ギリシャ北部のマケドニア地域を中心に、バルカン半島の伝統的な民俗音楽を基調とし、ドラムスやエレクトリック・ベース、エレクトリック・ギターなど現代的な楽器の要素も加えたダンス向けのアレンジで仕上げられた作品。

  • 2025-10-07
  • 2026-06-11

文化も時代も超越する音楽の深淵──。シークレット・トリオ新譜『Old Friends』

音楽という地球上の普遍言語で人々を繋ぐというヴィジョンのもと、20年近く活動するシークレット・トリオ(The Secret Trio)の新譜『Old Friends』がリリースされた。マケドニア出身のクラリネット奏者イスマイル・ルマノフスキー(Ismail Lumanovski)、アルメニア系アメリカ人のウード奏者アラ・ディンジャン(Ara Dinkjian)、そしてトルコ出身のカーヌーン奏者タメル・プナルバシュ(Tamer Pınarbaşı, Tamer Pinarbassi)の3人が奏でる音楽は微分音を用いるなど東欧・中東の民族音楽に根差しつつ、ジャズや西洋のクラシックともクロスオーヴァーするなど、独自の国境なき世界を巧みに表現する。

  • 2025-09-13
  • 2025-09-13

モンゴル出身ピアニストと、ドイツ出身低音マルチ奏者。愛情深き男女デュオの初作にして最高傑作

2023年のデビュー作が高く評価されたモンゴル出身のピアニスト、シュティーン・エルデネバートル(Shuteen Erdenebaatar)と、ドイツ出身のベーシスト/クラリネット奏者ニルス・クーゲルマン(Nils Kugelmann)。2020年に出会って以来、音楽だけではなく人生のパートナーとして絆を深めてきた二人による初のデュオ・アルバムが『Under the Same Stars』だ。

  • 2025-08-19
  • 2025-08-18

時間の経過とともに変化する記憶、郷愁、内省の物語。ヒライ・ゴヴリーン新譜『Every Other Now』

ニューヨークを拠点に活動するイスラエル出身のクラリネット/サックス奏者のヒライ・ゴヴリーン(Hillai Govreen)の第2作目となる新譜『Every Other Now』。同郷のベーシストであり共同プロデューサーのベン・メイナーズ(Ben Meigners)との密接なコラボレーションを通じて制作された意欲作で、彼女は主にテナーサックスを演奏し、欧州のジャズに通ずる叙情的なオリジナルをメインにその豊かな感性を披露している。