- 2025-04-30
- 2025-04-30
マグレブ音楽と欧州文化を繋ぐアレフ・クインテット、異文化の“対話”から生まれる新しいジャズ
ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する多国籍ジャズバンド、アレフ・クインテット(Aleph Quintet)の第2作目『Hiwar』。アルバム名はアラビア語で「対話」を意味し、ジャズと北アフリカ音楽の“対話”を通じて異なる文化的視点や音楽的感性を結びつけようとする彼らの姿勢を強く反映した作品となっている。
ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する多国籍ジャズバンド、アレフ・クインテット(Aleph Quintet)の第2作目『Hiwar』。アルバム名はアラビア語で「対話」を意味し、ジャズと北アフリカ音楽の“対話”を通じて異なる文化的視点や音楽的感性を結びつけようとする彼らの姿勢を強く反映した作品となっている。
チュニジア出身のウード奏者/作曲家アヌアル・ブラヒム(Anouar Brahem)の新譜『After the Last Sky』がリリースされた。ECMの傑作のひとつと称賛された前作『Blue Maqams』以来、実に8年ぶりとなる新作で、彼にとって初めての試みとなるチェロを加えた最大4人の編成でアラブ音楽やジャズ、クラシックを自然に融合させた美しい室内楽を聴かせてくれる作品となっている。
モロッコ出身で現在は米国ニューオーリンズを拠点とするマルチ弦楽器奏者/作曲家マフムード・ショウキ(Mahmoud Chouki)。2024年リリースの『Caravan "From Marrakech To New Orleans"』は、ギターやウードを卓越した技巧で操り、マグレブ(北西アフリカ諸国)の音楽とニューオーリンズで生まれたジャズを融合した独創的な音楽で国際的に称賛される彼の新作だ。
エジプトの天才的ウード奏者モハメド・アボゼクリ(Mohamed Abozekry)の新作『Roh El Fouad』。とかく伝統楽器としての側面が注目され、古典的な振る舞いを求められがちなウードという楽器の伝統に囚われない自由で先進的な演奏が新鮮。6人編成のバンドでアラビック・ミュージックをジャズの語法に持ち込んだ、大胆かつ美しいアルバムだ。
フランス人の母親とイラク人の父親を持つウード奏者/作曲家、アミン・アル・アイディ(Amin Al Aiedy)のデビュー作『SHAMS』は驚きに値する。西洋とアラブ、常に二つの文化が当たり前に存在する環境で育った彼が今作で魅せるのは西洋の音楽理論をベースにしていながら、従来その枠内では発想することさえ難しかった斬新な旋律だ。
アラブ音楽の旋法のひとつとして知られる「ヒジャズ」をグループ名に冠したベルギーのジャズ・カルテット、Hijaz。ウードとピアノの対話を軸にした音楽性が「間違いなく、ベルギーのワールド・ミュージック・シーンの最大の秘密のひとつ」と称される彼らが、ストリングス・トリオを伴って新作『Hijaz + Strings』をリリースした。
トルコやアラブの古典音楽やインドの古典音楽を学び、エレクトロニックと融合する独自の活動を続けるイスラエルのウード奏者、ヤニフ・タイヒマン(Yaniv Taichman)の旗振りのもと、イスラエルの豊かなシーンの中でも音楽的感覚と技術で特に抜きん出たグループであるピンハス&サンズ(Pinhas & Sons)のメンバーらを迎えた非常に興味深い4人組バンド、タイヒマニア(Taichmania)のデビュー作がこの『Seventh Heaven』だ。
パレスチナ生まれのピアニスト/作曲家ファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman)の2023年新譜『As much as it takes』、この凄まじい音楽的エネルギーの根底にあるものは何だろう。変拍子、ポリリズム、中東音楽の伝統的な旋律、迸る即興演奏、そういったテクニカルな部分が本質ではない。彼の音楽を創り上げているものは間違いなく彼の人生であり、そこから湧き起こる濾過されていない激情だ。
シリア出身の新星ウード奏者/作曲家/シンガー、ジャワ・マンラ(Jawa Manla)がアラブの古典音楽をベースにジャズや西洋クラシックの要素を取り入れた美しいアルバム『Distant Roots』でデビューした。収録の5曲はいずれも10分前後と長尺で、ジャワ・マンラ作曲による器楽曲と、彼女がシリアで過ごした子供時代に聴いたアラビア語の曲にインスパイアされた歌曲が収められている。
アラブ音楽やアンダルシア音楽に精通するモロッコ出身のウード奏者/作曲家モハメド・アハダフ(Mohamed Ahaddaf)の通算4枚目のアルバム『Ana W'inta』がリリースされた。2019年に加入した中東や北アフリカ音楽を専門とするオランダ・アムステルダム拠点のマルムーシャ・オーケストラ(Marmoucha Orchestra)とともに作り上げた作品で、15人ほどの豊かなアンサンブルで個性的なアラビック・ジャズを聴かせてくれる興味深い作品だ。
イスラエルで活動するエスノ・ジャズバンド、CaifásのデビューEP『The Meggido Sessions』。ジャズや中東音楽をベースにした複雑で個性的な楽曲を、ピアノ、ウード、サックス、ベース、ドラムスのクインテットで聴かせる魅力的なグループだ。数多いイスラエル・ジャズの若手グループの中でも、彼らのその土着志向で右に出るものはなかなかいないであろう。
2018年に結成以来、ベルギーのジャズシーンに新風を起こすアレフ・クインテット(Aleph Quintet)が待望のデビューアルバム『Shapes of Silence』をリリースした。ウード奏者のアクラム・ベン・ロムダンとピアニストのワジディ・リアヒはともにチュニジア出身。彼らがもたらす北アフリカ/アラブのエッセンスと、ベルギー出身のヴァイオリン奏者マーヴィン・ブルラス、ドラマーのマクシム・アズナール、そしてフランス出身のベース奏者テオ・ジッパーによる欧州の抒情的なジャズの完璧な融合は、彼らの演奏技術の高さとも相まって唯一無二の音楽体験を与えてくれる。
ベースの名手として知られるトルコの音楽家キャミル・エルデム(Kamil Erdem)の新作『Interactions』は、楽器をベースからクラシックギターに持ち替え、ウードとパーカッションとのトリオで演じる、魅力に満ちたオリエンタル・ジャズ作品だ。
スナーキー・パピーの中心人物である二人、ベーシストのマイケル・リーグ(Michael League)と鍵盤奏者のビル・ローレンス(Bill Laurance)のデュオ作がドイツの名門レーベルACTからリリースされた。北アフリカやトルコなどの地中海沿岸地域の音楽への傾倒を強めるマイケル・リーグらしく、今作はウードやフレットレス・ギターを用いるなどスナーキー・パピーとはまた異なるアプローチが全面的に押し出された魅力的な作品となっており、『Where You Wish You Were』というタイトルからも遠い異国の地や文化、まだ聴いたことのない音楽に対する彼らの強い好奇心が窺える内容となっている。