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SSW

  • 2025-08-06
  • 2025-08-06

言語を超越するモザンビーク出身SSWレナ・バウレ、伝統と未来を結ぶ深淵な傑作『Kumlango』

モザンビーク出身の歌手/作曲家/芸術活動家レナ・バウレ(Lenna Bahule)の新作『Kumlango』は、モザンビークやアフリカ南部の伝統音楽に由来する打楽器などによる優れたリズムに、効果的なエレクトロニック、そして広い音域を持つ彼女の柔らかく美しい声が融合するサウンドスケープが印象的な素晴らしいアルバムだ。国際的なミュージシャンも複数参加し、モザンビークを代表する芸術家として知られつつある彼女の活躍の舞台を世界に広げる。

  • 2025-08-03
  • 2025-07-28

ミナスのSSWグスタヴィート、伝統的なノルデスチ音楽の美学を詰め込んだエモーショナルな新譜

ブラジル・ミナスジェライス州ベロオリゾンチ出身で、同地のインディペンデント・ミュージック・シーンで確固たる実績を誇るSSWグスタヴィート(Gustavito)が自身8枚目となる新譜『Me Gusta!』をリリースした。プロデューサーにセーザル・ラセルダ(César Lacerda)を迎え、とりわけブラジル北東部音楽のフォホーに強く影響を受けた楽曲を多く収録した作品だ。

  • 2025-07-27
  • 2025-07-26

レバノンからパリに亡命したマルチ芸術家タニア・サレー、抑制された表現で伝える不安と希望

レバノンを代表する歌手、タニア・サレー(Tania Saleh)は母国の様々な状況(彼女はそれを“一連の不幸な出来事”と呼ぶ)から、ついに祖国を離れる選択をし、2022年にフランス・パリに移住した。彼女の最新作『Fragile』は、スーツケースに貼られた“壊れやすい”を表すその言葉の通り、故郷を離れることによる心理的な重荷や、亡命者が抱く根無し草のような感覚をテーマに作られている。

  • 2025-07-23
  • 2025-07-21

カタルーニャのSSWポル・バトリャ、エレクトロ×サイケロックで人生の転換期を表現するEP

カタルーニャのシンガーソングライター/ギタリストのポル・バトリャ(Pol Batlle)の新作EP『A Caballo Voy』は、彼の人生における転換期と、音楽的な進化のプロセスを示す重要な作品だ。今作はポル・バトリャが2018年から2019年にかけて作曲した5曲で構成されており、彼の母親が若年性アルツハイマー病と診断された後に創作活動を再開した時期の作品集で、アコースティックとエレクトロニックの絶妙なブレンドによって感情的な深さを捉えている。

  • 2025-07-16
  • 2025-07-16

英国の新星SSWホーネン・フォード、親友の死にインスパイアされた新作『神様がいたらいいのに』

英国ロンドンを拠点に活動するピアニスト/シンガーソングライターのホーネン・フォード(Hohnen Ford)は、リスナーを一瞬で虜にする特別な才能を持っているようだ。ロンドンの豊かなジャズシーンの中で学び、とりわけジョニ・ミッチェル、デヴィッド・ロングストレス、ビッグ・シーフといったアーティストたちからも大きな影響を受けてきた彼女は、最終的にそれらの影響を結びつけ、シンプルなようでいて複雑な、色彩豊かな歌を作りあげてきた。

  • 2025-07-12
  • 2025-07-07

MPB巨匠たちを支えるアルベルト・コンチネンチーノ、コロナ禍の内省を経て創造性を爆発させた新作

ブラジルを代表するベーシストであり、シンガーソングライターのアルベルト・コンチネンチーノ(Alberto Continentino)がソロとしては3枚目となる新譜『Cabeça a Mil e o Corpo Lento』をリリースした。MPBやジャズの伝統を音楽的な軸にしつつ、サウンドは非常に現代的かつドリーミーに洗練されており、極上のメロウ・ブラジリアン・ジャズポップを楽しめる作品に仕上がっている。

  • 2025-07-09
  • 2025-07-09

歌うことを禁じられた祖母は、音楽を“鳥のさえずり”と表現し私に伝えた──SSWナディア・ラルチェル、傑作デビュー作

アルゼンチン北西部、カタマルカ州の自然に恵まれた小さな町アンダルガラ(Andalgalá)で生まれ育ったシンガーソングライターのナディア・ラルチェル(Nadia Larcher)は、彼女のソロデビュー・アルバム『Trinar(La flor)』で、祖母マリアの記憶、花や鳥や川といったアンダルガラの自然、そして大規模採掘問題で揺れる地域の環境問題を、伝統的なフォルクローレと洗練されたジャズを融合した美しいサウンドに乗せて力強く表現している。

  • 2025-07-02
  • 2025-07-02

鬼才ジェネヴィーヴ・アルタディ新章!ビッグバンドとの共演で新たなマイルストーンを刻む『Another Leaf』

ノウワー(Knower)のヴォーカリストとして知られるSSW、ジェネヴィーヴ・アルタディ(Genevieve Artadi)が新譜『Another Leaf』をリリースした。今作はスウェーデンのノルボッテン・ビッグバンド(Norrbotten Big Band)との共演となっており、彼女の過去作からの再演曲を中心に、迫力あるアレンジが施されたジェネヴィーヴ・ワールドの新章を堪能できるアルバムとなっている。ノウワーの相棒であるドラマーのルイス・コール(Louis Cole)も半分以上のトラックで参加しており、実質的にはノウワーの新作と言ってもよい素晴らしい内容だ。

  • 2025-07-01
  • 2025-07-01

ノルデスチの気鋭SSW/ギタリスト、ジョシアラ。愛と欲望を直情的に表現する新譜『AVIA』

傑出した新世代のシンガーソングライターであり、パーカッシヴな演奏が高く評価されるギタリストであり、ブラジル北東部(ノルデスチ)の音楽シーンで独自の存在感を示すアーティストであるジョシアラ(Josyara)による3枚目のアルバム『AVIA』がリリースされた。物語を紡ぐように流れる全10曲はどれも素晴らしく、アフロブラジル音楽の新たな傑作と呼ぶべき高い完成度を誇る作品だ。

  • 2025-06-29
  • 2025-06-29

ペルシャとクルドにルーツを持つ新星SSWエラナ・サッソン、伝統文化と現代ジャズを繋ぐ美しい対話

ペルシャとクルドをルーツに持つアメリカ生まれ・スペイン在住の歌手/作曲家エラナ・サッソン(Elana Sasson)の2作目のアルバム『In Between』は、自身のルーツである中東音楽をベースに、現代ジャズやラテン、地中海音楽の要素も交えた作品。バンドはコロンビア出身のピアニスト、サンティアゴ・ベルテル、キプロス出身のベース奏者マノス・ストラティス、そしてベルギー出身のドラムス奏者ヴィクトール・ゴルトシュミットの国際色豊かなトリオ編成を中心としており、穏やかなジャズに乗せて歌う抒情詩のような美しさが印象的なアルバムとなっている。

  • 2025-06-26
  • 2025-08-02

深淵な哲学と精神性を孕んだペドロ・イアコ最新作『Sangria』──現代ブラジル音楽芸術の重要作

これはとんでもない傑作だ。2017年にジョヴァンニ・イアシ(Giovanni Iasi)とのデュオでデビューし、称賛を浴びたブラジルのSSW/ギタリストのペドロ・イアコ(Pedro Iaco)は、2025年の新作『Sangria』で、単なるエンターテインメントとしての音楽に留まらない哲学や精神性を備えた限りなく美しい世界観を見せ、彼のアーティストとしての真髄を深く掘り下げている。

  • 2025-06-25
  • 2025-06-25

大洋のアンビエント・ミュージック。カナダ出身音楽家アンブル・シエルの深淵なデビュー作

カナダ・モントリオール出身の音楽家、アンブル・シエル(Ambre Ciel)がデビュー作『still, there is the sea』をリリースした。アルバムは英国のゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からのリリースで、ピアノやストリングス、声を中心とした深淵なサウンドが、同レーベルを代表するアーティストであるハニャ・ラニ(Hania Rani)を彷彿させる。内省的で美しい、ポスト・クラシカルの注目作だろう。

  • 2025-06-22
  • 2025-06-22

稀代のSSW/マルチ奏者アントニオ・ロウレイロ、複雑で洗練された7年ぶりソロ新譜『Aldeia Coração』

ブラジルのシンガーソングライター/マルチ奏者のアントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)がソロとしては4枚目となる新作アルバム『Aldeia Coração』をリリースした。ブラジルの多様な伝統・近代音楽や、世界中の才能溢れる音楽家たちから影響を受けながら、独自の音楽観や表現技法を築いてきた稀代のアーティストの究極的な到達点であると同時に、まだまだ可能性に満ちた未完の大器の現在地とも思える余白を残す、限りなく興味深い傑作だ。

  • 2025-06-14
  • 2025-06-14

ブラジル女性SSWの先駆者、ジョイス新作『O Mar é Mulher』は新しい『Feminina』だ

ブラジル音楽のマスター・ピースのひとつである『Feminina』(1980年)から45年。イノベーター、ジョイス・モレーノ(Joyce Moreno)は新作『O Mar é Mulher』で、再び彼女の原点に立ち返った。確かにその声は相応の年輪を刻んでいるが、ガットギターやピアノ、パーカッションによるサウンドは軽やかで瑞々しいまま、どういうわけか今も当時と似た課題を繰り返し抱える現代社会を抽象的に捉えるシンガー・ソングライターという芸術家の立場と役割を鋭く示す、近年の音楽作品の最高傑作とも思える輝きを静かに放つ。