レイン・スルタノフが美しく描き出す“アゼルバイジャンの7つの風景”

Rain Sultanov - Inspired by Nature

バクー出身の名誉音楽家が表現したアゼルバイジャンの風景

アゼルバイジャン・バクー出身のサックス奏者、レイン・スルタノフ(Rain Sultanov)の2017年作『Inspired by Nature (Seven Sounds of Azerbaijan)』はその名の通り、アゼルバイジャンの7つのランドスケープ(自然の景観)を描き出した作品だ。

アゼルバイジャンの新鋭ピアニスト、シャヒン・ノヴラスリ(Shahin Novrasli)や、北欧を中心に活躍する日本人ベーシスト、森泰人(Yasuhito Mori)、スウェーデン出身のチェリスト/SSWのリネア・オルソン(Linnea Olsson)といった俊英揃いのセクステットを率い、ECM的な抒情性をしたためた美しい楽曲・演奏が表情豊かに展開されている。

長閑な風景が眼に浮かぶ(2)「The White Birds of Qizilagac」といった静謐な作品から、荒涼とした山岳地帯のような(3)「Up Lahij Mountains」、吹き荒れる風(8)「Wild Wind of Zuvend」など、美しく、ときに厳しさも見せる自然の風景を感性のままに表現。レイン・スルタノフは主にソプラノサックスを吹いており、その響きは北欧的な透明感を湛えている。

アルバムはこの「The White birds of Qizilagac」で幕を開ける。
Qizilagacはアゼルバイジャン南東部に位置する人口1600人程度の村のようだ。
半砂漠気候の都市Shirvanの草原を駆けるガゼルをテーマにした「On the Trail of Shirvan’s Gazelles」

アゼルバイジャン・ジャズの最重要人物、レイン・スルタノフ

サックス奏者レイン・スルタノフ(Rain Sultanov)は1965年にアゼルバイジャン・バクーに生まれた。クラシックのクラリネットを習っていた10代の頃、ウェイン・ショーターやジョー・ザヴィヌルのバンドWheather Reportやマイルス・デイヴィスなどに大きく影響され、ジャズサックスを習得。4年間は軍隊に所属しながら軍のオーケストラで演奏を行ってきた。
その後は歌劇場での作曲家/アレンジャーとしての仕事や、オーケストラで優れたソリストとして活動。クラシックとジャズを跨ぎアゼルバイジャンの音楽の発展に大きく寄与をしてきた。

2008年には戦争と、それがもたらす難民などの悲劇をテーマに描いた大作『Tale Of My Land』を発表。大きな反響を呼んだ。

2005年からは毎年、バクー国際ジャズフェスティバル(the Baku International Jazz Festival)を主宰。アゼルバイジャン国内の音楽家はもちろん、海外からジョー・ザヴィヌル、ハービー・ハンコック、マーカス・ミラーなどの大物なども含む国内外の多くのミュージシャンを招聘し、古くよりジャズの街として知られるバクーの音楽文化の発展に大きく貢献をし続けている。

『Tale Of My Land』のビデオクリップ。
アゼルバイジャンは今も国内の民族間の対立、それに伴う政治の不安定や紛争といった問題を抱えている。
Rain Sultanov - Inspired by Nature
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