エレクトロニックもプログレも吸収。アゼリの気鋭デュオが挑むムガーム・ジャズの新境地

Etibar Asadli & Alafsar Rahimov - Sexy Caffards

Etibar Asadli & Alafsar Rahimov 『Sexy Caffards』

現在のアゼルバイジャンのジャズシーンをリードする二人の音楽家、ピアニストのエティバル・アサドリ(Etibar Asadli)と木管楽器奏者アラフサル・ラヒモフ(Alafsar Rahimov)。これまでも互いの作品に参加し合うなど深い音楽的パートナーシップを築いてきた二人が、デュオの名義で新作『Sexy Caffards』をリリースした。

Sexy Caffards = セクシーなゴキブリ、という刺激的なタイトル通り、音楽も未体験の刺激に満ちたものになっている。アゼルバイジャンの伝統音楽ムガームに強く影響されたジャズが、プログレシッヴ・ロックやエレクトロニックの衣を纏い、グロテスクでもあり美しくもある異様な世界観を創出。民族的な旋律を華麗に紡いでゆくエティバル・アサドリのピアノと、バラバンやズルナといった伝統的なリード楽器を巧みに操るアラフサル・ラヒモフに加え、多彩なゲスト・ヴォーカリストたちやドラムス、エレクトリック・ギターも効果的に起用し他では聴くことのできない圧倒的なクオリティのサウンドを創り上げる。

アルバム『Sexy Caffards』のティーザー動画。圧巻のヴィジュアル・イメージはAiplague(@aiplague)によって手掛けられたもの。

アルバム収録曲はどれも手が込んでおり、静謐で神秘的な導入部分から宇宙的な音響空間の中盤、そして溜めたエネルギーを一気に放出するような終盤の展開が見事な(1)「Road」、少し悲しげな情感のヨーロッパ・ジャズ的雰囲気を持つワルツ(3)「Hope」、ダブルリードの楽器・ズルナの鋭い音色と口笛との対比、そして荘厳なイメージの(5)「Half Moon」、ワシントン在住のインド系シンガー、ハリーニ・アイヤー(Harini Iyer)をフィーチュアした(7)「Caravan」、中東ジャズロック(9)「Flame」など全編で独特の色彩感をもった魅惑のサウンドが堪らない。

ピアニスト Etibar Asadli 略歴

エティバル・アサドリはアゼルバイジャンの首都であり、ムガームジャズ発祥の地であるバクーに1992年に生まれた。6歳頃からピアノを始め、2009年にバクー音楽院の作曲科に入学。以来、彼はピアニストとして成功し政府のイベント、様々なプロジェクト、アゼルバイジャン内外のフェスティバルやコンペティションで次第に注目度を高めてきた。

2018年9月にバクーで行われた世界柔道選手権大会のオフィシャルテーマ曲も担当。ムガームジャズの系譜を受け継ぎつつ、エレクトロ・ミュージックとの融合など独自の音楽を探究。自らグランドピアノの調律までも行うなど他のアゼルバイジャンのムガーム系ピアニストにもない個性を発揮する。

バラバン/ズルナ奏者 Alafsar Rahimov 略歴

木管楽器奏者のアラフセル・ラヒモフは10歳の頃から伝統楽器バラバン(別名:ドゥドゥク。アゼルバイジャンやアルメニアを中心に演奏されているダブルリードの楽器)の演奏を始め、アゼルバイジャン州立音楽院でムガームやジャズを学んできた。祖父はアゼルバイジャンで著名なズルナ奏者のエレフセル・セキリ(Elefser Şekili)。

伝統的な音楽であるムガームに根ざしながらも、現在の演奏のフィールドはジャズを中心としており、バラバンの演奏に革新を呼び込んだと言われている。一方でロックを演奏したり、アゼルバイジャンの交響楽団でソリストも務めるなどその活動の幅は広い。
アメリカ、ヨーロッパ諸国、中国、韓国、台湾、シンガポール、モロッコ、チュニジアなど世界各地で公演を行い、2011年にはモントルー・ジャズフェスティヴァルにも出演している。

Etibar Asadli – piano, music production, vocals
Alafsar Rahimov – balaban, zurna, kazoo, vocals
KID BE KID – vocal (3)
Harini – Indian vocal (7)
Natasha Brown – speech (2)
Martin Wangermée – drums
Kévin Lazakis – electric guitar

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