イーロ・ランタラ、フィンランド人の一年について語る。
12の月をテーマにした新譜『My Finnish Calendar』をリリースしたフィンランドの人気ジャズピアニスト、イーロ・ランタラ(Iiro Rantala)だが、同時に本人による全曲コメント付きのバージョン『My Finnish Calendar (Track by Track Commentary)』も配信開始となっている。このアルバムは1月から順番に一月ごとのイーロ・ランタラのコメントのあと、その月の曲が始まるという構成となっている。
これがめちゃめちゃユーモアセンスに溢れ面白かったので、フィンランドや北欧人の生活に興味のある人はぜひ聴いてもらいたい。
ごく一部を意訳で紹介すると、
・1月のフィンランド人のメンタルムードは一言でいうと「二日酔い」だ。みんなクリスマスでお金を使いすぎたから。
・2月は最高の冬の月だ。スキー、スケート、雪だるま作り、雪合戦が楽しい…私のお気に入りは、おしっこで雪の上に名前を書く遊びだ。
・4月は自殺者がもっとも多い。もしあなたにフィンランド人の友達がいたら、電話をかけて「今どうしてる?」と聞いて欲しい。もし崖に立ってジャンプするところだよ、という返事ならその電話で救ってあげてくれ。
・5月まで生き残ったフィンランド人は、夏の計画を立て始める。フィンランド人はサマーフェスティバルが大好きだ。特にEDMとかいう新しい音楽スタイルを。(このあと、イーロ・ランタラ風の変なEDM風ソロピアノが始まる)
・6月は最悪だ。ずっと雨が降っている。子供達の夏休みが始まるが、両親は仕事なので家族間でストレスがたまる。夏っぽいことをしようと週末はキャビンに出かけるが、何もかも湿っている。サウナでヒートアップすると夫婦喧嘩が始まる。それでも彼らは夏を楽しもうと偽りの笑顔を浮かべる。
…こんな具合だ。コメントを聞いたあとだと美しいソロピアノもギャグにしか聴こえてこなくなってしまう。
割とストレートにかましてくる下ネタも、「スウェーデン人は美しいけどあいつらの心の中は真っ暗だ」といったブラックなネタも、ユーモアたっぷりに包み隠さず語られる。色々とフィンランドについて誤解を生みそうなネタ満載だが、個人的にはフィンランドに行ってみたくなるほど魅力たっぷりのトークだった。