パレスチナのジャズピアニスト、ファラジュ・スレイマンのデビュー作
激推しのパレスチナ人ジャズピアニスト 、ファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman, 1984年 – )が2014年に発表したソロピアノ作品『Login』が最近のお気に入り。
耳に新鮮に響くアラビックな旋律とヨーロッパジャズ的な叙情、そして卓越したピアノの演奏技術と相まって、個性的かつ美しいジャズを聴かせてくれる唯一無二の存在。右手が繰り出すトリルは軽快だが、心に訴えかけるメッセージを載せる。彼は「私の音楽は政治的で、パレスチナ人が行うことは全て政治的です」と語る。ソロピアノというフォーマットは、ノイズのない彼のストレートな感情を世界中に発信するには最適に思える。
このデビュー作のあと、ファラジュ・スレイマンはピアノトリオを軸とした編成の『Once Upon a City』(2017年)や、アコーディオンやトランペットを加えたライヴ盤『Toy Box』(2018年)、そして最新作『Second Verse』(2019年)は自身のヴォーカルもフィーチュアするなど“進化”し続けているが、私は原点であるこのソロピアノ作品が一番好きだ。
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故郷パレスチナで地域唯一のおもちゃ屋を営んでいた父親、ロールモデルのない中でジャズピアニストという道を選んだ困難な道程など、ファラジュ・スレイマンの生い立ちについては別記事で紹介しているのでぜひご覧いただきたい。