オーストラリア・ジャズ注目作。美声歌手クリスティン・ベラルディ新譜

Kristin Berardi - Haven

オーストラリア・ジャズ注目作『Haven』

オーストラリアのシンガーソングライター、クリスティン・ベラルディ(Kristin Berardi)新譜『Haven』は、ピアノ、サックスとのレギュラーバンドに加え、ルクセンブルク出身のヴィブラフォン奏者パスカル・シューマッハ(Pascal Schumacher)を全面的にフィーチュアした極上のジャズ・ヴォーカル作品だ。

収録曲は全てオリジナルで、クリスティン・ベラルディが4曲、サックス奏者のラファエル・カーレン(Rafael Karlen)が4曲、ピアニストのショーン・フォラン(Sean Foran)が3曲を書いている。

アルバムはベースレス・ドラムレスのうえ、ヴィブラフォンがフィーチュアされているためか北欧ジャズのような透明感も。叙情的なピアノとスピリチュアルなサックスがクリスティン・ベラルディの美声をサポートしているが、各楽器奏者が決して脇役に回るようなこともなくそれぞれのソロもしっかりと主張し楽しめる内容で、総合的にレベルが高い。これは決してクリスティン・ベラルディのヴォーカルが前面に出た作品ではなく、三者+ゲストが対等に対話した紛うことなき良作だ。

アルバム『Haven』のドキュメンタリー動画

オーストラリア・ジャズの注目株が集う作品

ヴォーカルのクリスティン・ベラルディ(Kristin Berardi)は1981年クイーンズランド州クーマラ生まれ。2006年にモントルー国際ジャズフェスティヴァルのヴォーカル部門で優勝し注目を集めた。オーストラリアでは自動車メーカー、アウディのCMソングを2020年に歌い、広く注目を集めている。

ピアノのショーン・フォランはオーストラリアで最も注目されているピアニストの一人で、世界中で公演を行っており、2011年には東京JAZZフェスティバルで初来日もしている。2014年に初のソロピアノ・アルバム『Transmission Point』をリリース。

サックス奏者/作曲家のラファエル・カーレンはこれまでに小編成のジャズバンド、弦楽四重奏、ビッグバンド、交響楽団、さらにはポップスやロックなど様々なジャンルや編成で作曲や編曲を行ってきた。

ルクセンブルク出身のヴィブラフォン奏者パスカル・シューマッハは本作ではゲスト扱いだが、11曲中9曲に参加しアルバムに確かな彩りを添えている。機知に富んだ即興奏者として評価されており、これまでに数多くのアルバムをリリース。2015年には日本をテーマにした作品『Left Tokyo Right』を携え来日公演も行っている。

Kristin Berardi – vocal
Sean Foran – piano
Rafael Karlen – saxophone

Guest :
Pascal Schumacher – vibraphone

Kristin Berardi - Haven
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