結成20周年の名セクステットHagiga、多彩でハイレベルなイスラエルジャズ新譜

Alon Farber - Reflecting on Freedom

イスラエルの鬼才サックス奏者率いるセクステット新譜

サックス奏者アロン・ファーバー(Alon Farber)が率いるイスラエルの名セクステット、Hagigaの4枚目のアルバム『Reflecting on Freedom』がリリースされた。今作もHagigaらしい緻密で多様なジャズ・アンサンブルが楽しめる素晴らしいクオリティの作品だ。

まるでイスラエルのフォークソングのようで、ジューイッシュな哀愁の漂う(1)「Israeli Song」はトロンボーンのオデッド・メイアOded Meir)による作曲。今作ではゲストでサライ・ザク=レヴィ(Sarai Zak-Levi)という歌手がフィーチュアされており、彼女のオーガニックで飾らない歌声は強く印象に残る。

牧歌的なジューイッシュ・フォークジャズ(1)「Israeli Song」

続く(2)「Reflecting on Freedom / Freedom Jazz Dance」はファンキーなナンバーで、アロン・ファーバー作曲による前半部と、エディ・ハリス作曲の異彩スタンダード「Freedom Jazz Dance」の後半部で構成される。シンプルなコード進行に複雑なメロディが絡むこの曲はミュージシャンにとって即興の腕の見せ所でもあるが、ここでソロを取るのはピアノのエデン・ギアットEden Giat)。1999年生まれの新星だが、端正なピアノはかつてグループに在籍したオムリ・モール(Omri Mor)を彷彿させる。

ファンキーなジャズ・アンサンブル(2)「Reflecting on Freedom / Freedom Jazz Dance」

イスラエルでも人気の高いブラジル音楽からの影響を感じさせるオデッド・メイア作曲の(3)「Theme for Michal」、アロン・ファーバー作曲のハード・バップ(5)「Fresh Start」、イスラエルを代表するシンガーソングライターであるマティ・カスピ(Matti Caspi)のカヴァー(7)「You’ll See the Way」、モロッコの伝統曲をベースにした(8)「Hammouda」など、イスラエルジャズの底力を感じさせる強力なアンサンブルが楽しい。

アロン・ファーバー略歴

リーダーのサックス奏者/作曲家アロン・ファーバーは、米国ボストンのバークリー音楽大学でジャズ作曲を学び、イスラエルのジャズ作曲家首相賞(2016年)とウェイン・ショーター賞作曲家部門(1998年)を受賞している。
イスラエルの著名なジャズ・オーケストラであるイスラエルジャズオーケストラ(Israeli Jazz Orchestra)の創設者の一人であり、ソリストと作編曲を手がける。

Hagigaは2001年にアロン・ファーバーとドラマーのダニ・ベネディクト(Dani Benedikt)によって結成。以降、スウィングジャズ、北アフリカ音楽、ファンク、ブラジル音楽などに影響を受けたジャズを展開。オムリ・モール(Omri Mor)、エリ・デジブリ(Eli Degibri)、アナット・コーエン(Anat Cohen)、アヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen, tp)、オメル・クライン(Omer Klein)、アミット・フリードマン(Amit Friedman)、アモス・ホフマン(Amos Hoffman)といったイスラエルを代表するミュージシャンとコラボを重ねてきた。
Hagigaとして、今作を含めこれまでに4枚のアルバムをリリースしている。

ブラジリアン・ナンバー(3)「Theme for Michal」はサライ・ザク=レヴィ(Sarai Zak-Levi)のスキャットも良い

Hagiga :
Alon Farber – soprano sax, alto sax
Yehonatan Cohen – tenor sax, flute, clarinet
Oded Meir – trombone
Eden Giat – piano
Assaf Hakimi – bass
Roy Oliel – drums

Guests :
Sarai Zak-Levi – vocal (1, 3, 7)
Rony Iwryn – percussion (1, 2, 3, 7, 8)

Alon Farber - Reflecting on Freedom
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