自らを追い込むことから生まれた衝動的なサウンド
サックス、シンセ、ドラムスというユニークな編成のオルタナティヴ・ジャズトリオ、ラスト・シーン・アライヴ(Last Scene Alive)のデビューアルバム『World Class Pep Talk』が面白い。バンドは米国ワシントンD.C. とオランダ・アムステルダムを拠点とするミュージシャンによって構成されており、即興演奏を主体にジャズやパンクロック、フュージョンなどジャンルを超越した刺激的な音楽を激しく展開する。
メンバーはワシントンD.C.のシンセポップバンド「Pretty Bitter」に在籍したキーボード奏者ザック・ビー(Zack Be)、アムステルダム在住のサックス奏者グラハム・ロバートソン(Graham Robertson)、そしてドラマーのショーン・シドリー(Sean Sidley)という編成。ゲストのタイシャ・エストラーダ(Taisha Estrada)が歌う(5)「Summit Not The Chasm」を除き全編がインストで、どの曲も攻撃的な音作りが際立つ。
ゲストでギタリストのギャレット・グリーソン(Garrett Gleason)が参加した(2)「Better To Be Alone Than In Bad Company」は彼らの音楽の真骨頂だろう。タイトル(悪い仲間と居るより独りで居る方がマシだ)はジョージ・ワシントン1の言葉から取られているが、前のめりな7拍子のリズムで、だがキャッチーさを失わずに次々とコズミックな場面転換をしていく様は圧倒的だ。
このバンドは、”狂乱状態から生まれた”とグラハム・ロバートソンは語っている。まだ曲が何もないのに、3週間後にライヴの予定が決まった状態から曲を書き上げ、時間と闘いながらバンドの音を作っていった。「今思えば、その切迫感が特別な効果を生んだのかもしれません」と彼は語る。ほとんど衝動のような感性に従うまま、このクレイジーなバンドとアルバムが生み出された。彼らのサウンドに生々しく宿るのは、人間の飽くなき音楽への探求心だ。
Graham Robertson – saxophones, fx
Zack Be – keyboards, fx
Sean Sidley – drums
Guests :
Garrett Gleason – guitar (2)
Taisha Estrada – vocals (5)
- ジョージ・ワシントン(George Washington, 1732 – 1799)…アメリカ合衆国初代大統領。1789年の初の大統領選で、独立戦争の英雄として選挙人投票率100%という圧倒的な支持を受け、初代大統領に就任した。彼の言葉「Better to be alone than in bad company」は、自分の評判を重視するならば、悪い人々との関係を断つべきという彼の信念を表している。 ↩︎