イリアーヌ・イリアス、巨匠ピアニスト二人との傑作ピアノ・デュオ作品
ブラジル出身のジャズピアニスト/歌手のイリアーヌ・イリアス(Eliane Elias)新譜『Mirror Mirror』は、なんとチック・コリア(Chick Corea)が4曲、チューチョ・バルデス(Chucho Valdés)が3曲をイリアーヌと共に演奏したピアノ・デュオアルバム!タイトル通り、鏡合わせに向かい合ってピアノを演奏する二人の想像力と創造力が反射し共鳴し合う、ジャズピアノ好きには堪らない作品だ。
チック・コリアとの共演曲は2018年にマンハッタンのYamaha’s Artist Servicesで収録。二人は1978年にブラジルで初めて会っており、自らの音楽的影響源の一人としてチック・コリアを挙げていたイリアーヌはずっと彼との共演を夢見ていたが、ついに本作で夢が叶った形に。ここではチックを代表する名曲(1)「Armando’s Rhumba」、ジャズボッサのスタンダード(3)「Blue Bossa」、チックが作曲しジョー・ヘンダーソンやロン・カーターらとのカルテット作『Mirror, Mirror』(1980年)で演奏した(5)「Mirror Mirror」、そしてジャズスタンダード(7)「There Will Never Be Another You」の4曲でリラックスしたピアノデュオを聴かせてくれる。
イリアーヌは本作のミックスダウン中にチック・コリアの訃報に接したという。
チューチョ・バルデスとの共演曲はブルックリンのBunker Studiosで収録。イリアーヌが提案したという共演曲はいずれもスペイン語の名曲を取り上げており、特に(6)「Sabor a Mi」の二人の個性的なソロの応酬は素晴らしくエキサイティングで、今作のベストトラックのひとつとなっている。
最も成功したブラジル出身ピアニスト、イリアーヌ・イリアス
イリアーヌ・イリアス(Eliane Elias)は1960年サンパウロ生まれのレバノン系ブラジル人。20歳の頃にアメリカに渡り、以降ずっと米国を拠点として主にジャズボッサの分野の人気アーティストとなっている。これまでに25枚を超えるアルバムをリリースし、グラミー賞とラテン・グラミー賞の双方を獲得した稀有な音楽家として知られる。
今作で共同プロデューサーを務める著名なジャズベーシストのマーク・ジョンソン(Mark Johnson)は夫。ジャズトランペッターのランディ・ブレッカー(Randy Brecker)は元夫。
ピアノを弾きながらボサノヴァを歌うイメージの強いイリアーヌだが、今作ではピアノに徹し軽やかなフレージングで巨匠二人と対等に渡り合う。
Eliane Elias – piano (L-channel)
Chick Corea – piano (track 1,3,5,7 R-channel)
Chucho Valdés – piano (track 2,4,6 R-channel)