イスラエル・ポップの巨匠シェム・トーヴ・レヴィ、フルートが舞う2016年の傑作『Sham Yesh』

Shem Tov Levi - שם יש

Shem Tov Levi Ensemble 2016年作『שם יש』

Ktzat AcheretSheshetといったグループの中心人物として1970年代のイスラエル・プログレジャズポップ界隈を牽引したシンガーソングライター/ピアニスト/フルート奏者のシェム・トーヴ・レヴィ(Shem Tov Levi, ヘブライ語表記:שם טוב לוי)。『שם יש』(2016年)は本稿執筆(2021年)時点の彼の最新アルバム。

魅力的なメロディーと、飾らない歌声と、軽やかなフルートのソロ、叙情的なピアノなどで構成されるこの10曲入りのアルバムは、彼がいまだにイスラエル随一の才能を持った音楽家であることを静かに示している。

郷愁を感じさせる(1)「Sham Yesh」、アラビックな(2)「Yemey Horpi」、フルートが主役となるインストゥルメンタル(3)「Intermezzo」、叙情的でダブルベースのソロも美しい(4)「בנחת רוח」などなど、多彩な楽曲群が並ぶ。バンドはシェム・トーヴ・レヴィのピアノとフルートに、ギター、ウード、ベース、パーカッションのアコースティックな編成で、西洋と中東の折衷具合も見事だ。洗練されつつも曲中に何度もハッと驚かされるような音使いがあったりと、イスラエル音楽ならではの楽しみ方ができる素敵な作品。

(1)「שם יש」

70年代から活躍するイスラエル・ポップの巨匠

シェム・トーヴ・レヴィは1950年テルアビブ生まれ。
フルートを13歳から始め、テルアビブ大学とバークリー音楽大学で学んだ彼は1969年からプロとしての活動をスタートさせた。1972年にはイスラエルの国民的歌手アリク・アインシュタイン(Arik Einstein)のアルバムに楽曲を提供したことをきっかけに、その後十数年に渡りアリクとの強靭な音楽的パートナーシップを築き数枚の共作アルバムを制作。

ローカルな音楽だけでなく、ジャズやブラジル音楽も取り入れつつも親しみやすい高度なポップスで盟友のシュロモ・グロニフ(Shlomo Gronich)らと共に活躍し、その後のイスラエル音楽シーンにも強い影響を与えた。

インストでの間奏曲(3)「אינטרמצו」(Intermezzo)

Shem Tov Levy Ensemble :
Shem Tov Levy – flute, piano, vocals
Tzour Ben Ze’ev – contrabass
Gadi Ben Elisha – guitar
Charlie Sabach – oud
Noam Chen – percussion
Gershon Vayserfirer – piano, cumbus, wind instruments

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