トルコ新世代歌手エリフ・サンチェス、世界観を拡げる中東×スパニッシュな新譜『Mi Voz』

Elif Sanchez - Mi Voz

トルコ出身歌手エリフ・サンチェス、新作はスパニッシュ

2021年にアルバム『Elif Sanchez』でデビューしたばかりのトルコ出身のヴォーカリスト/オーボエ奏者エリフ・サンチェス(Elif Sanchez)の新作『Mi Voz』が早くも届いた。中東・東欧のフォークミュージックをベースにした前作からすると、今作は驚くほどスペインのフランメンコに寄せられており大きく音楽的な変貌を遂げている。持ち前の憂いを帯びた魅力的な声質や表現力は今作でも最大限発揮されており、優れたヴォーカル作品に仕上がった。

楽曲の多くはスペインの作曲家でギタリストのハビエル・リモン(Javier Limon)によって提供されており、スペイン語で歌われる。これはエリフ・サンチェスの前作で1曲だけ収録されていたスペイン語の曲を彼女がハビエルに送って意見を求めたところ、彼がいたく気に入り、今回の協働につながったとのこと。ハビエルがギターを演奏しプロデュースしたサウンド面はスパニッシュだが、やはりエリフの歌唱表現には中東音楽の色が濃く、結果として面白いコラボレーションとなっている。

アルバムにはキューバの名曲(7)「Dos Gardenias」、ユーロヴィジョン・ソングコンテスト2007のトルコ代表SSWケナン・ドウル(Kenan Doğulu)とデュエットした(6)「Vuelve / Kurşun Adres Sormaz Ki」といったカヴァーも含まれている。
トルコから羽ばたいた新世代の歌姫が、さらに世界を切り拓く会心作だ。

(10)「Mi Voz」

Elif Sanchez プロフィール

エリフ・サンチェス(Elif Çakmut Sanchez)はイスタンブール出身。両親はトルコ東部のエルズルム出身で、その方言はアゼルバイジャン語とよく似ており、彼女が言語への関心を抱くきっかけにもなった。母親はエリフのためにトルコやアゼルバイジャンの伝統曲をよく歌っていたといい、エリフ自身が両国の歌を歌うのも母親の影響が強い。

イスタンブール大学国立音楽院ではオーボエとイングリッシュホルンを専攻。予てより海外の生活を夢見ていた彼女は2013年に奨学金を得てボストンのバークリー音楽大学に入学し、ジャズオーボエと声楽を専攻した。卒業後はニューヨークに移り、地中海音楽を演奏するグループ、The Mediant Collective などで活動。これまでにティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)、デイヴ・リーブマン(David Liebman)、テレンス・ブランチャード(Terence Blanchard)、ハビエル・リモン(Javier Limon)らと共演している。
夫はエクアドル出身のトランペット奏者パウル・サンチェス(Paul Sanchez)。

Elif Sanchez – vocal
Javier Limón – guitar
Dany Noel – bass
Israel Suárez – percussion
Pablo Limón – percussion
Kenan Doğulu – vocal (6)

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