ジャズ・ドラムの歴史と最前線を探求するアリ・ホーニグ、要注目の新作

Ari Hoenig - Golden Treasures

NYを代表するドラマー、アリ・ホーニグ新作

現代ニューヨーク・ジャズを代表するドラマー、アリ・ホーニグ(Ari Hoenig)の新作『Golden Treasures』は、イスラエル出身の天才ピアニストガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、NY出身の若きベーシストのベンジャミン・ティベリオ(Benjamin Tiberio)、そして数曲でイスラエルのギタリストヨアヴ・エシェド(Yoav Eshed)をフィーチュアした、叙情的かつエキサイティングなジャズ作品だ。

ドイツ語で“黄金の宝物”を意味する(1)「Goldenes Schätze」は子どもが弾く出鱈目なピアノとオーヴァーラップするイントロで幕を開ける。その後はビル・エヴァンスを彷彿させる詩的なトリオ演奏が繰り広げられ、その美しさに一気に引き込まれる。

(1)「Goldenes Schätze」のライヴ演奏動画。

アルバムにはいくつかのジャズ・スタンダードも含まれている。
リチャード・ロジャース作の(2)「It Might as Well Be Spring」とウェイン・ショーター作の(5)「Deluge」にはギタリストのヨアヴ・エシェドが参加し彩りを添え、レイ・ノーブル作曲の(4)「Cherokee」やデューク・エリントンの(7)「Sophisticated Lady」などはピアノトリオでストレイト・アヘッドなジャズを展開。そしてラストのソニー・ロリンズ作曲(9)「Doxy」はなんとソロ・ドラムで表現され、音程を持ったタムでメロディを再現するという荒技がとてつもなくクールな演奏だ。予てよりドラムスという楽器のメロディックな可能性への探究を続けるアリ・ホーニグらしい1曲と言えるだろう。

Ari Hoenig プロフィール

アリ・ホーニグは1973年米国フィラデルフィア州生まれ。
父親は指揮者でクラシックの歌手、母はヴァイオリンとピアノを演奏するという音楽的に恵まれた環境で育ち、4歳の頃からヴァイオリンとピアノを習い始めた。
12歳でドラムスを始めフィラデルフィアのクラブなどで経験を積み、名門ノース・テキサス大学やウィリアム・パターソン大学で学び、その後ブルックリンを活動の拠点に移しマイク・スターン、リチャード・ボナ、パット・マルティーノといった著名ミュージシャンとの共演を重ねる。

1999年に初リーダー作『Time Travels』をリリース。その後もリーダー、客演問わず活躍し、現代のニューヨーク・ジャズのシーンで欠かせないドラマーとして存在感を示している。

(9)「Doxy」は、アリ・ホーニグが予てより追求するドラムスのメロディックな可能性への現在の集大成だ。

Ari Hoenig – drums
Gadi Lehavi – piano
Ben Tiberio – bass

Guest :
Yoav Eshed – guitar (2, 5)

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