イスラエル出身気鋭ギタリスト、Yoav Eshed 豊かなインタープレイで魅せる新譜

Yoav Eshed - August

NYで活躍するギタリスト、ヨアヴ・エシェド新譜『August』

イスラエル出身、米国ニューヨークを拠点に活動するギタリスト/作曲家ヨアヴ・エシェド(Yoav Eshed)による、2018年作『By Duo』に続く3枚目のアルバム『August』。アルバムには彼のカルテットに加え、ゲストで人気テナーサックス奏者のデイナ・ステフェンズ(Dayna Stephens)も参加している。

全7曲のうち4曲がヨアヴ・エシェドの作曲で、残り3曲がNY出身のベーシスト、ベンジャミン・ティベリオ(Benjamin Tiberio)の作曲となっている。
演奏を聴いてみるとリーダーであるヨアヴだけが目立つようなことはなく、ベース、ピアノ、ドラムスとも対等な関係でアンサンブルが続く。ピアノは1994年NY生まれのレックス・コルテン(Lex Korten)、ドラムスは韓国出身でNYで活躍するキム・ジョングク(Jongkuk Kim)という気鋭奏者揃いで現代ジャズらしい緻密に計算されたコンポージングとインタープレイが見事だ。

(1)「Piano Rain」ではヨアヴのギターは緊張感のあるコードを刻み続け、ベンジャミン・ティベリオのベースソロとレックス・コルテンのピアノソロがフィーチュアされる。
(2)「Cape Town」はギターとベースのデュオで叙情的な響きが印象的な楽曲。

(3)「Costume」はデイナ・ステフェンズのサックスをフィーチュアし、ギター、ベース、ドラムスとのカルテットで演奏。4人で呼応しあうインタープレイが素晴らしい。

(1)「Piano Rain」のライヴ演奏。
ここでは同郷のピアニスト、ガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)とのデュオで披露されている。

楽曲はどれも情緒豊かで現代NYの都会的なジャズの香りが漂うが、(6)「Pal Apple」はイントロからイスラエル・ジャズ特有の異国情緒に溢れ特に耳を惹かれる。この曲はヨアヴ・エシェドがイスラエル在住時代に組んでいたバンド、Trio Millionaires でも演奏されていた曲のようだ。

Trio Millionaires で演奏される(6)「Pal Apple」
イスラエル・ジャズらしいエキゾチックな旋律が印象的だ。

ピアニストのアプローチでギターを弾く

1989年生まれのヨアヴ・エシェドは3歳になる誕生日の直前からピアノを習い始め、モーツァルト、バッハ、ヘイデン、メンデルスゾーンといった作曲家の曲を練習し、7歳で最初のリサイタルを行った。ギターを始めたのは13歳からで、以来多くのイスラエルのジャズミュージシャンと共演し、アメリカ-イスラエル文化財団ジャズ奨学金を獲得。スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルのギターコンクールで3位を得るなど活躍の場を広げ、バークリー音楽大学を首席で卒業している。

彼は非常に優れたギタリストだが、和音への理解など音楽の基礎はピアノによって築かれている。
例えば、ほとんどの曲はピアノで作曲しているし、ギターを始めた頃には指板の音を覚えるために、ピアノの鍵盤のように白と黒で各弦各フレットを塗り分けていたそうだ。

ギターの演奏と即興のアプローチにもピアニストとしての経験が活きる。
ピアニストが左手でコードを押さえると同時に右手でソロのフレーズを弾くように、ヨアヴはギターでコードとメロディーを同時に演奏する。

2012年、ヨアヴ・エシェドはギタートリオ「Trio Millionaires」を率い、歌手でコメディアンのトメル・シャロン(Tomer Sharon)の協力を得て有名なイスラエルの子供向けソングブック「The 16th Sheep」をジャズにアレンジしたプロジェクトを開始。これはイスラエルの文化省の支援も受けている。

近年はスペイン出身の注目の女性ギタリスト/SSWのラウ・ノア(Lau Noah)とも度々共演するなど、NYジャズの中心で存在感を強めるヨアヴ・エシェド。その活躍から目が離せない。

ラウ・ノアとガットギターでのデュオ演奏をするヨアヴ・エシェド。

Yoav Eshed – guitar
Dayna Stephens – saxophone
Lex Korten – piano
Benjamin Tiberio – bass
Jongkuk Kim – drums

Yoav Eshed - August
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