独自のアフリカ音楽を探求するJulian BeBachir デビュー作
オーストラリア出身、アフリカ音楽を探求するパーカッション奏者ジュリアン・ベルバキアー(Julian BeBachir)のデビュー作『Babdoukkala』。西アフリカを代表する弦楽器、コラに似たンゴニ(N’goni)を独自に改良した楽器も用い、セネガル出身のラミネ・ソンコ(Lamine Sonko)やギニア出身マリン・シラ(Malin Sylla)らをゲストに迎えた恍惚のアフリカ音楽が展開される。
北アフリカのモロッコにルーツを持つオーストラリア人としての自身のアイディンティティに突き動かされた、彼のライフワークである伝統的な北/西アフリカ音楽と現代的な作曲やサウンドの融合の集大成と言ってよい圧倒的なスケールで描かれるアルバムだ。(1)「Mahaba」、(3)「Babdoukkala」などは鳥たちの声など自然の音も背景に存在させた豊穣なグルーヴ感を醸し、一種の癒しのような感覚を覚える。レゲエやダブの要素もさらりと自然に溶け込んだサウンドが素晴らしい。
オーストラリア・シドニーにオーストラリア人とモロッコ人の両親のもと生まれた打楽器奏者であるジュリアン・ベルバキアーは、5歳から伝統的なアフリカ音楽を演奏するようになった。ギニア、セネガル、モロッコといった西アフリカの国々を旅し、アフリカ音楽の巨匠たちに師事し演奏技術を磨くとともにアフリカの楽器をベースにしたオリジナルの楽器製作も開始。その後はレゲエ、ダブ、エレクトロニカ、ジャズ、ドラムンベース、グナワといった様々なエッセンスを融合した独自の音楽性を探求。オーストラリアのダブ・バンド、Okaのドラマー/パーカッショニストとして活躍するなど様々なバンドでの長い経験を経て、ついに今回のソロデビュー作のリリースに至っている。