フラメンコ、中東音楽とJazzの艶やかな融合。クラリネット奏者オスカル・アントリ『Isthmus』

Oscar Antoli - Isthmus

イベリアからアナトリアを繋ぐ音楽の旅路

スペイン・カタルーニャ州トルトーサ出身の作曲家/クラリネット奏者オスカル・アントリ(Oscar Antoli)の新譜『Isthmus』は、フラメンコからバルカン音楽、トルコ音楽まで地中海沿岸に根付く伝統的な音楽を大胆に取り入れた個性的で優れたジャズ/ワールド・ミュージック作品だ。

(1)「A Night in Perissa」から、フラメンコ・ギターとターキッシュ・クラリネットの響きがボーダーレスな音楽体験をもたらす。
カタルーニャに生まれ、ウィーンで学び、トルコ音楽に魅了されたオスカル・アントリの演奏と作曲のスタイルは非常に独特で、ギターのレイナー・マリア・ネロ(Rainer Maria Nero)、カホンを中心としたパーカッションのカルロス・ロンダ(Carlos Ronda)、フュージョンの影響の濃いマルコ・フェルラン(Marko Ferlan)によるバンドが織り成すフラメンコ寄りのサウンドの中に心地良いある種の“違和感”を作り出し、それが本作の大きな魅力となっている。

ここにさらに刺激的なスパイスを付け加えるのが国境を超えた多彩なゲスト陣。
トルコのクルド人歌手サキナ・テイナ(Sakîna Teyna)、フラメンコ・ダンサーのマルコ・デ・アナ(Marco de Ana)、イラン系オーストリア人ギタリストのマハン・ミララブ(Mahan Mirarab)、セルビアのアコーディオン奏者ミロシュ・トドロフスキー(Miloš Todorovski)、オーストリアのピアニストのマルコ・アンナウ(Marco Annau)、トルコのヴァイオリン奏者エフェ・トゥルムタイ(Efe Turumtay)、オーストリアのハーディ・ガーディ奏者マティアス・ロイブナー(Matthias Loibner)、ギリシャの歌手アレクシア・クリソマリ(Alexia Chrysomalli)といった手練れたちによって奏でられる世界はイベリア半島からバルカン半島、アナトリア半島までを自在に行き交い、アルバムタイトルのイスマス(Isthmus)= 地峡に育まれた豊穣な文化を融合する。

歌手サキナ・テイナを迎えた(2)「Bridging over the Sea」のライヴ映像。

収録曲は全曲がオスカル・アントリの作曲。不思議なタイトルの(5)「13A」は、彼が学んだウィーン市内を走るバス路線を指す。
独創的で魅力的なクラリネットやフルート、フラメンコ・ギターの音色を堪能できる艶やかで楽しい作品だ。

Oscar Antoli Quartet :
Oscar Antoli – clarinet, bass clarinet, flute
Carlos Ronda – percussion
Marko Ferlan – bass
Rainer Maria Nero – guitar

Guests :
Sakîna Teyna – vocal (2)
Marco de Ana – flamenco dance (2)
Mahan Mirarab – electric guitar (3)
Miloš Todorovski – accordion (4)
Alexia Chrysomalli – vocal (7)
Efe Turumtay – violin (8)
Marco Annau – piano (9)
Matthias Loibner – hurdy-gurdy (11)

Oscar Antoli - Isthmus
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