トルコの名手キャミル・エルデム、中東音楽から南米音楽まで多彩な音楽表現で魅せるエスノ・ジャズ

Kamil Erdem - Interactions

トルコの名手Kamil Erdem、ギター×ウード×打楽器トリオの新作

ベースの名手として知られるトルコの音楽家キャミル・エルデム(Kamil Erdem)の新作『Interactions』は、楽器をベースからクラシックギターに持ち替え、ウードとパーカッションとのトリオで演じる、魅力に満ちたオリエンタル・ジャズ作品だ。

これまでの彼の作品のようにマカームなどの伝統音楽とジャズ、さらにはラテンやブラジル音楽などの要素がボーダーレスに混ざり合うが、アコースティック楽器のみで演奏される音世界は従来の彼の作品に見られるような濃い“フュージョン色”はなく、ナチュラルで温かい印象を抱かせる。

リズムもコード感もブラジル音楽に強く影響されながらもウードの音色が中東感を醸し出す不思議な(3)「Espirito Carioca」、ゲストにブエノスアイレス出身バンドネオン奏者ブライアン・キャバレロ(Brian Caballero)を迎えたアルゼンチン・タンゴ(4)「Tango Perla」、ラテン気質のドラマチックな展開に痺れる(5)「Caribbean Air」など、国境の概念を感じさせないが、同時に確かなアイデンティティーを持った音楽性が素晴らしい。

シングルとして先行リリースされた(8)「Paraguay」も圧巻だ。パラグアイの伝統的な音楽ジャンル“グアラニア”に基づいた6/8拍子に絡むウードの音色は、心の中にだけ存在する架空の故郷への郷愁感を強く刺激する。

(8)「Paraguay」

Kamil Erdem プロフィール

キャミル・エルデムは1959年トルコの首都アンカラ生まれ。早くからクラシックギターを学び、のちにベースに転向した。大学では電気工学を学び、卒業後はエンジニアとして働く傍らで音楽活動を継続。1981年にオケイ・テミズ(Okay Temiz)が率いるエスノ・ジャズバンド、オリエンタル・ウィンド(Oriental Wind)に加入し1986年まで在籍。1990年にアジアミノール(Asiaminor)を結成し、1997年までに3枚のアルバムをリリースした。

その後は主にソロでのキャリアを築き、エジプトのバンドSharkiatをはじめ国内外のさまざまなミュージシャンとの共演を重ねつつ、独自の音楽の探求を続けている。

Kamil Erdem – guitar
Fatih Ahıskalı – oud
Kaan Ahıskalı – drums, percussion

Guests :
Ülkü Aybala Sunat – vocal (7)
Brian Caballero – bandoneon (4)

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