バルセロナの才能と創造性を結集する斬新なラグタイム楽団、Barcelona Art Orchestra

Barcelona Art Orchestra - Ragtime Stories

バルセロナの才能と創造性を結集する斬新なラグタイム楽団

クラリネット/テナーサックス奏者のリュック・カサーレス(Lluc Casares)、ドラマーのジョアン・ヴィダル(Joan Vidal)、ピアニストのネストル・ヒメネス(Néstor Giménez)、そして同じくピアニストのルイス・ヴィダル(Lluís Vidal)というスペインを代表する4人の作曲家が中心となって始めたオーケストラ・プロジェクトであるバルセロナ・アート・オーケストラ(Barcelona Art Orchestra, BAO)
彼らが「ラグタイム」をキーワードに、演劇や詩、ダンスなど幅広い芸術をジャズの観点から探求するファースト・アルバムが『Ragtime Stories』(2022年)だ。

総勢17名のオーケストラは、現代の洗練されたラグタイムともいうべき斬新なスタイルで、クラシックから現代ジャズまでをつなぐ。楽曲の構成は複雑だがラグタイムらしい踊りたくなるような楽しさがあり、既に過去の時代のものとなった音楽の素晴らしさをしっかりと現代的な解釈を加え蘇らせる。

(5)「Rag to the Future」

アルバムは全8曲。
さまざまな場面転換が楽しい15分前後の大作である(1)「R.A.G.T.I.M.E」と(7)「El Viatge de Jimmy Rag」を中心に、手の込んだアレンジの楽曲が続く。オーケストラのメンバーは主にカタルーニャの音楽学校で鍛錬したミュージシャンであり、そのうちの何人かはバルセロナのいくつかの音楽教育機関で教師として働いているという。

(7)「El Viatge de Jimmy Rag」の終盤部分抜粋。

本作には参加していないが、コンサートではスペインのギターの巨匠トティ・ソレール(Toti Soler)とも共演するなどカタルーニャの芸術音楽シーンでも注目されるBAO。各奏者の即興も適度に交えた素晴らしいアンサンブルは聴き応えたっぷり。
カタルーニャのクラシックやジャズのシーンの膨大な才能と創造性を結集するプロジェクトは次回作の構想も進められているようで、今後の活動も要注目だ。

アルバムのラストにはラグタイムといえばこの曲!の(8)「The Entertainer」もやたらと捻くれたアレンジで収録している。最後までニヤリと楽しませてくれる良盤である。

Barcelona Art Orchestra :
Anna Pujol – flute, piccolo
Gabriel Amargant – tenor saxophone, alto, saxophone, soprnao saxophone
Lluc Casares – clarinet, tenor saxophone
Jordi Santanach – clarinet, bass clarinet, baritone saxophone
Joan Mar Sauqué – trumpet
Òscar Latorre – trumpet
Álvaro Ocón – trumpet
Pau Valls – French horn
Alba Pujals – trombone, bass trombone
Apel.les Carod – violin
Marta Roma – cello
Adrià Plana – guitar
Pilar Subirà – vibraphone, marimba, glockenspiel, percussions
Guiseppe Campisi – dounle bass
Néstor Giménez – piano
Lluís Vidal – piano
Joan Vidal – drums

Barcelona Art Orchestra - Ragtime Stories
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