北アフリカ、中東、欧州の音楽を濃縮した圧巻のジャズ。アレフ・クインテット、デビュー。

Aleph Quintet Shapes of Silence

Aleph Quintet 『Shapes of Silence』

2018年に結成以来、ベルギーのジャズシーンに新風を起こすアレフ・クインテット(Aleph Quintet)が待望のデビューアルバム『Shapes of Silence』をリリースした。
ウード奏者のアクラム・ベン・ロムダン(Akram Ben Romdhane)とピアニストのワジディ・リアヒ(Wajdi Riahi)はともにチュニジア出身。彼らがもたらす北アフリカ/アラブのエッセンスと、ベルギー出身のヴァイオリン奏者マーヴィン・ブルラス(Marvin Burlas)、ドラマーのマクシム・アズナール(Maxime Aznar)、そしてフランス出身のベース奏者テオ・ジッパー(Théo Zipper)による欧州の抒情的なジャズの完璧な融合は、彼らの演奏技術の高さとも相まって唯一無二の音楽体験を与えてくれる。

まさに“ワールド・フュージョン”の呼び名が相応しいバンドだ。北アフリカの音楽、ジャズの即興演奏、グナワのリズム、スーフィー文化。バンド名のアレフとはヘブライ文字のアルファベット(=アレフベート)の最初の文字「א」のこと。彼らそれぞれの音楽の原点を示しつつ、ここから始まる新たな音楽を力強く宣言する。
(1)「Let’s Move」はいきなり象徴的で、ウードのイントロに導かれる力強い変拍子のリズム、ヴァイオリン、続いてピアノの強烈な個性を放つアドリブソロで昂りながら螺旋状に昇り詰めていくような演奏に心が躍る秀逸な曲だ。

(1)「Let’s Move」

ゲストとしてベルギーのアルトサックス奏者ファブリツィオ・カッソル(Fabrizio Cassol)が2曲で参加し彩りを加える。どことなくインド風味もあるエキサイティングな(3)「Désirs」、瞑想的なウードの独奏が印象的な(6)「Samaï」、サックスやヴォイスが幻想的な雰囲気を醸し出す(9)「Morning Mist」など、ワールド・ミュージックやジャズが好きな方に全力でおすすめしたい作品だ。

サックス奏者ファブリツィオ・カッソルを迎えた(5)「Peace」
ライヴ演奏の様子

Aleph Quintet :
Akram Ben Romdhane – oud
Marvin Burlas – violin
Wajdi Riahi – piano
Théo Zipper – bass
Maxime Aznar – drums

Guest :
Fabrizio Cassol – alto saxophone (5, 9)

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