ヴァネッサ・モレーノ、卓越したセンスで魅了するジャジー&ソウルフルな新作『SOLAR』

Vanessa Moreno - Solar

現代MPBを代表するSSWヴァネッサ・モレーノ新譜『SOLAR』

現代ブラジル屈指のシンガーソングライター、ヴァネッサ・モレーノ(Vanessa Moreno)の2023年新譜『SOLAR』。オーガニックでソウルフルな声の魅力、持ち前の超絶技巧的なスキャットをジャジーなバンド・アンサンブルに乗せた極上のブラジル音楽だ。

バンドはベースにミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)を迎え、ドラムスにヘナート・ガルヴァン(Renato Galvão)、ピアノ/キーボードにフェリピ・ヴィーガス(Felipe Viegas)というシンプルな編成ながら、ピポキーニャの卓越したベースを中心にグルーヴィーで浮遊感のあるサウンドを展開する。ヴァネッサ・モレーノは自身のギターもかなりの腕前だが今作では弾いておらず、サウンドも新しい志向に挑戦している印象だ。

収録曲は彼女のオリジナルやダニ・グルジェル(Dani Gurgel)との共作のほか、レニーニ(Lenine)の(3)「O Silêncio das Estrelas」や、シコ・セーザル(Chico César)の(8)「Ererré」などの極上カヴァーも。バンドメイトであるミシェル・ピポキーニャの曲(7)「Baexá pra Van」もやっている。

(1)「Solar」の弾き語り。

ラスト(9)「Salabim」は愛娘アリス(Alice Moreno Marostica)との思わず頬が緩んでしまう愛らしいデュエット。

レニーニの名曲(3)「O Silêncio das Estrelas」。
ヴァネッサ・モレーノはこの曲を2017年作『Em Movimento』でも木管楽器を中心にしたアレンジで歌っており、聴き比べも楽しい。

Vanessa Moreno プロフィール

ヴァネッサ・モレーノは15歳の頃からギターを弾き始め、音楽を始めている。音楽的に恵まれた家庭環境で育ち、ガットギターでサンバなど弾く父と、エリス・レジーナやミルトン・ナシメント、さらにはピンク・フロイドやイエスなどのプログレッシヴ・ロックも好む母と共に音楽を楽しんでいたという。

サンパウロの市立音楽学校で1年間クラシックの声楽を学んだが、ほどなくしてポピュラー音楽の学校に転学し知識と技術を深めた。ダニ・グルジェルによって“ノヴォス・コンポジトーレス(新しい作曲家たち)”のひとりとして見出され、元夫でベーシスト、フィ・マロスティカとの共同名義でリリースした『Vem Ver』(2013年)は日本でも注目を集めた。

Vanessa Moreno – vocal
Michael Pipoquinha – bass
Felipe Viegas – piano, keyboard
Renato Galvão – drums

Alice Moreno Marostica – vocal (9)

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