新世代ジャズ最注目のマルチ奏者コーシャス・クレイ、名門ブルーノートから『KARPEH』リリース

Cautious Clay - KARPEH

コーシャス・クレイ、Blue Note Records 第1作『KARPEH』

米国オハイオ州出身、近年注目のマルチ奏者/シンガーソングライター、コーシャス・クレイ(Cautious Clay)が名門ブルーノート・レコードからの最初のアルバム『KARPEH』をリリースした。
アルバムタイトルは彼の本名に因んでおり、多彩な15曲は自伝的な要素も含む。ゲストにジュリアン・ラージ(Julian Lage)、アンブローズ・アキンムシーレ(Ambrose Akinmusire)、イマニュエル・ウィルキンス(Immanuel Wilkins)、ジョエル・ロス(Joel Ross)、アルージ・アフタブ(Arooj Aftab)といった現代ジャズ最高峰の面子を揃え、溢れ出る個性と才能をニューヨークの最先端のサウンドで表現する傑作に仕上がっている。

自身のルーツを深く掘り下げることによって、これまでの彼の作品と比較し“ジャズ”の側面を強く浮かび上がらせた。さりげなく複雑さを織り交ぜたコード、その和音構成を巧みに渡る旋律、ヒップホップやR&Bの影響が反映されたリズム。そして前述の極めて個性的な一流のジャズ・アーティストたちが“サイドマン”として盛り上げる。そのサウンドは極めて風景に溶け込んでおり、かつ究極的な深みも併せ持つ。

アルバムを通して素晴らしいが、ハイライトはやはり(3)「Ohio」だろうか。
一聴してその洗練されたカッコよさに雷撃を受けるような楽曲で、自然に恵まれた地方都市である故郷オハイオ州クリーブランドの思い出、郷土愛を質素な歌詞で表現する。

(3)「Ohio」

(5)「The Tide Is My Witness」も素晴らしい。
ヴォーカルと器楽のバランスは理想的で、控え目なヴォーカルと比較し、複雑で予想外なコード進行の上で繰り広げられる彼の猛々しいサックス演奏のスキルにも自然と耳を惹かれる。この所作は新世代のスターを確信させるものだ。

(5)「The Tide Is My Witness」のライヴ演奏動画

Cautious Clay プロフィール

コーシャス・クレイ、本名:ジョシュア・カルペ(Joshua Karpeh)は1993年オハイオ州クリーブランド生まれ。音楽好きな両親の家庭に育ち、両親は家で古典的なR&Bやジャズを演奏していた。
ジュシュア自身も7歳からフルートを、高校からサックスを始め、学校のジャズバンドやロックバンドで演奏経験を積んでいる。現在はそれら以外にもギター、ベース、キーボード、ドラムスなどの楽器を演奏するマルチプレイヤーだ。

2015年にジョージ・ワシントン大学で国際問題の学位を取得して卒業。その後ニューヨークで2年間不動産業者として働き、さらに1年間広告業界で働き、その後音楽活動に専念した。
2017年に最初のシングル「Cold War」をリリース(この曲はのちにテイラー・スウィフトの「London Boy」でサンプリングされた)、翌2018年に同曲を含む最初のEP『Blood Type』をリリース。

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